「俺たちの泰時」爆誕&仇討ち新解釈にSNS湧く【鎌倉殿】

2022.6.13 20:15

ある事件が起き、事の重大さにおののく義時(小栗旬)、金剛(坂口健太郎)、北条時政(坂東彌十郎) (C)NHK

(写真10枚)

三谷幸喜脚本・小栗旬主演で、鎌倉幕府二代執権・北条義時を中心に描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)。6月12日放送の第23回『狩りと獲物』では、源頼朝(大泉洋)をはじめとする主要人物たちが集結した「富士の巻狩り」のコント的なやり取りの数々と、「曽我兄弟の仇討ち」の思いがけない「真相」に、終始SNSがわきかえった(以下、ネタバレあり)。

■ コミカルとシリアスの振れ幅が大きすぎた第23回

曽我十郎(田邊和也)と五郎(田中俊介)の本当のターゲットが、工藤祐経(坪倉由幸)ではなく頼朝だと知った義時。それを横目に、約1カ月に渡る狩りのイベント『富士の巻狩り』が盛大に始まった。

頼朝は、息子の万寿(金子大地)が狩りの成果を上げることで、周囲に「鎌倉殿の後継者」と認知させることを狙っていたが、一匹も捕らえられない。そこで義時の長男・金剛(坂口健太郎)が仕留めた子鹿を、さも万寿が倒したように細工をして目的を達成。茶番に勘づいた万寿は、金剛にだけその悔しさを打ち明ける。

5月28日の晩、頼朝は富士に来ていた比奈(堀田真由)の宿所を訪れるが、義時にとがめられて退散。しかしまさにその頃、曽我兄弟たちが頼朝の元に襲撃をかけ、五郎がその首を落とした・・・と思われたが、急な雨で宿所に戻れなかった頼朝は難を逃れ、本当に討たれたのは、奇遇にも頼朝の身代わりとなっていた工藤祐経だった。

この事態に義時は、謀反という不名誉な事実と批判を避けるため、「曽我兄弟は親の仇である祐経を、立派に討ち取った」という美談に転換する。斬首が決定した五郎に向かい「まれなる美談として末代までも語り継ごう」と、冷徹に言い放った頼朝。

しかしその一方で、今回も生き延びたことに対して「今までは、はっきりと天の導きを感じた。だが昨日は、なにも聞こえなかった。わしが成すべきことは、もうこの世には残っていないのか」と、義時につぶやくのだった──。

■ 「金剛」坂口健太郎が登場! テロップにツッコミ続出

本放送前日の11日に演出担当の吉田照幸氏は、ツイッターにて「明日の鎌倉殿は、久々におバカとシリアスの振れ幅が大きい階(原文ママ)です」と予告。その言葉に違わず、コントのようにクスッと笑えるシーンにあふれた巻狩の部分と、美談の裏に隠されていたかもしれない、ある真実を暴き出す仇討ちの部分の落差が、あまりにも大きな回だった。

金剛(坂口健太郎)に「いつか弓の達人になってみせる」と告げる万寿(金子大地) (C)NHK

特に前半で反響があったのは、金剛(後の北条泰時)として坂口健太郎が初登場したシーン。金剛はこの当時満9歳なので、現在30歳の坂口が演じるのは正直ちょっと苦しいのだが、そのツッコミを先取りするかのように「成長著しい金剛」とのテロップが。

これには「いくらなんでも急に大きくなりすぎじゃ・・・という視聴者の戸惑いを、テロップ一発で笑いに変えるの上手すぎる」「(テロップの)文字で『お前らの言いたいことはわかってるからな』と先回りされるとは思わなかった」「そんな裏ワザあるか???」と、SNSに称賛の声が続々とあがった。

さらに金剛は、狩りが上手くいかない万寿を横目に、やすやすと鳥を討ち落としたり、大人たちが仕掛けた茶番に突っ込みを入れて、義時に無言で突かれたりする。この空気の読めない行動の数々が、笑いのアクセントになっていたのと同時に、坂口が朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』(2021年)で演じた当たり役・菅波先生のマイペース具合を思い出した人も多数。

当時ドラマに登場するたびに「#俺たちの菅波」がトレンドとなったように、今回もまた「#俺たちの泰時」がトレンドに浮上。このタグはドラマが終わるまで、今後たびたび目にすることになるはずだ。

■「曽我兄弟の仇討ち」まさかの新解釈にネット称賛

対して後半の仇討ちパートでは、曽我兄弟が工藤祐経には目もくれず、鎌倉殿暗殺に一直線に向かったことや、祐経はアクシデントで殺されたこと、義時によって「敵討ちを装った謀反ではなく、謀反を装った敵討ち」にされたこと・・・と、三谷脚本では古くから語り継がれてきたこの事件にさまざまな新解釈を盛り込みつつ、すべてのピースをガッツリ合わせるという神業を披露。

上総広常暗殺に続き、「やや荒唐無稽だけど、現在わかってることを複合すると、あり得ない話じゃない(むしろめっちゃ面白い)」というドラマを、三谷は今回もあざやかに作り上げた。

仁田忠常(高岸宏行)ら北条の兵とともに野営する曽我五郎(田中俊介)と曽我十郎(田邊和也) (C)NHK

SNSでも「工藤祐経が勘違いで討たれる。しかし結果的に曽我兄弟は親の仇を討った形に。こんなん予測できるわけなかろうが」「史実にオリジナル脚色したのに、それを為政者たちが作り上げた歴史とすること事で修正させるの、三谷幸喜の才能がとんでもない」「『仇討ちへの称賛』という現代人には感覚として伝わりにくいものを、政治工作という現代人こそエグく感じるシナリオにアレンジする三谷さん、マジで大河ドラマが巧い」など、脚本を絶賛する声があふれかえった。

また、かつて源義経(菅田将暉)が、勝者が事実をゆがめて伝えることに対して、「そうやって歴史は作られていくんだ」とうそぶいたシーンを思い出した人も。

SNSでは「憎くて殺そうと思った相手から形の上でも褒められて、その体制の強化に加担した形になって、その美談が数百年の後にも語り継がれてるって、本人にとってどんな地獄の業火よ」「義時が北条のために作り上げた偽りの美談が曽我兄弟の仇討ちとして吾妻鏡(編纂:北条氏)に載るってことでしょ・・・やばい・・・」と、まさに「歴史の改ざん」にリアルで立ちあったような気持ちにさせられることに、震えた視聴者も多かったようだ。

ちなみに今回のドラマの撮影の模様が、6月14日・夜11時の『100カメ』(NHK)で放映される。実際に富士の麓で行われた大規模かつ過酷なロケの裏側を、100台のカメラを使って撮影。ドラマ以上にドラマティックかもしれない撮影現場の現実が確認できるはずなので、ちょっと息抜きする気分でチェックしてみてほしい。

『鎌倉殿の13人』の放送はNHK総合で毎週日曜夜8時から、BSプレミアム・BS4Kでは夜6時からスタート。第24回『変わらぬ人』では、曽我兄弟の暗殺未遂の一件以来、はからずも頼朝に敵視されることになってしまった源範頼(迫田孝也)や、意に沿わぬ縁談を持ちかけられた頼朝の娘・大姫(南沙良)の運命が描かれていく。

文/吉永美和子

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