ミュージカル界のレジェンド・市村正親に「立ち向かいたい」

2022.6.13 07:15

ミュージカル『ミス・サイゴン』でクリス役をつとめる俳優・小野田龍之介(6日・大阪市内)

(写真2枚)

1970年代のベトナム戦争をテーマにした名作ミュージカル『ミス・サイゴン』で、ヒロイン・キムの恋人となる元アメリカ兵・クリス役をつとめる小野田龍之介。6月6日におこなわれた取材会では、初演から同作に出演し続けているレジェンド・市村正親について触れるシーンがあった。

キムの周辺で調子良く立ち回る男で、本作の影の主役とも言われる「エンジニア」を演じる市村正親は、1992年の日本初演以来この役を十八番とし、何度も「今回で卒業」と言われながらも、現在まで出演記録を更新中だ。小野田は市村の存在が、このミュージカルを特別なものにしていると言う。

「年を重ねるごとにさまざまな才能が入ってきても、初演の方々が作り上げたベースのエネルギーが、市村さんを通して伝わってくるんです。これが、『ミス・サイゴン』がほかのミュージカルと違うエネルギーを持ち続ける、ひとつの理由じゃないかと思います。前回での卒業を撤回しましたけど(笑)、撤回したからにはとんでもないエネルギーを後輩たちにぶつけてくるはずだし、我々もそれに負けないよう立ち向かいたいです」と意気込んだ。

ミュージカル『ミス・サイゴン』でクリス役をつとめる俳優・小野田龍之介(6日・大阪市内)

今回の公演は、本来2020年に上演されるはずだったが、緊急事態宣言の発出により、稽古半ばで中止となった。その間小野田は「初めて1カ月ぐらい、ミュージカルから完全に離れていた」そうだが、舞台へのモチベーションを取り戻したのは、まさに『ミス・サイゴン』がきっかけだったという。

「リモートでラジオ出演をしたとき、ミュージカルの曲のリクエストを聞かれて、『ミス・サイゴン』から2曲をお願いしたんです。すると聞いた瞬間に涙がワーッとあふれてきて、この作品の持つ『祈り』の力を感じたんですね。世界に対する祈り、生きるための祈りというのを、本当に深く描いたドラマなんだと、改めて思いました」と、そのときの気持ちを振りかえる。

さらに「この作品が再び上演されるときは、お客さまは今まで以上に期待をして劇場に足を運んでくださるはず。より強い覚悟を持って舞台に立たないと、お客さまに飲み込まれてしまうだろうとも思いました。今回は、関係者一同リベンジマッチのように感じています」と意気込んだ。

クリス役は小野田のほかに、海宝直人とチョ・サンウンのトリプルキャスト。エンジニア役は市村のほかに駒田一・伊礼彼方・東山義久が交互出演する。大阪公演は9月9日~19日に「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)にて。チケットはS席1万5000円 、A席1万円、B席5500円で、6月19日から発売開始。キャストスケジュールは、公式サイトでご確認を。

取材・文/吉永美和子

ミュージカル『ミス・サイゴン』

会場:梅田芸術劇場(大阪市北区茶屋町19-1)
期間:2022年9月9日(金)〜19日(月・祝)
料金:S席1万5000円、A席1万円、B席5500円
※チケットは2022年6月19日(日)より発売

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