木版で手刷りだけじゃない…「令和」の日本版画が京都に集結

2022.4.14 07:15

『第3回 PAT in KYOTO 京都版画トリエンナーレ2022』会場風景

(写真9枚)

細工を施した版にインクを転写し、絵画を製作する技法・版画。日本では現在、銅版画、木版画など従来からある版種に加え、デジタル技術を駆使した作品など、その領域はますます広がりを見せている。そういった現状を多くの人に知ってもらい、版画の更なる発展に繋げようと京都でイベントがスタートした。

日本の版画は国際的に高い評価を受け続けている。江戸時代の浮世絵版画が19世紀後半のフランス印象派に大きな影響を与えたのは有名なエピソードだが、近代以降も日本の版画は進化を続け、1960~70年代には「黄金時代」と呼ばれる盛況を見せた。

松元悠《水(北山田町)》

本展には、自分の経験やメディアで見聞きしたニュースを元に、奇妙な雰囲気が漂うリトグラフ作品を制作する松元悠、あるテーマに意図的な誤読を何度も加え、写真、映像、立体、インターネット情報などを駆使した作品を制作する澤田華など、19組の作家が参加。一人当たりのスペースが大きく取られており、複数の作品を系統的に見せる、巨大なインスタレーションを構築するなど、従来の枠を超えた展示がおこなわれるのも大きな特徴だ。

日本版画界の最先端が集結する本展を見れば、額縁に収められた作品を1点ずつ見るという、従来的な版画のイメージが覆されるだろう。『第3回 PATinKYOTO 京都国際版画トリエンナーレ2022』は「京都市京セラ美術館」(京都市左京区)で4月12日より、一般700円ほか。会期中の土・日・祝日には、各種イベントを開催しており、公式サイトを要チェック。

文/小吹隆文(美術ライター)

『第3回 PATinKYOTO 京都版画トリエンナーレ2022』

日程:4月12日(火)~5月8日(日)
時間:10:00~18:00 ※入場は17:30まで。 月休 ※5/2(月・祝)は開館
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊2F(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
料金:一般700円 学生(大高生)500円
TEL:075-771-4334

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