「もはや職人」舞台上で8キロのロボットを操る劇団四季俳優

2022.2.6 20:15

タング役を務める生形理菜(左)と渡邊寛中(右)

(写真5枚)

劇団四季のミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が、2月23日に「京都劇場」(京都市下京区)で開幕する。注目すべきはパペティア(パペットの操演者として出演するパフォーマー)と呼ばれるふたりが操作する、ロボット「タング」だ。

2月1日におこなわれたオンライン取材会では、2020年の東京初演よりタング役をペアで務める劇団四季の俳優・生形理菜と渡邊寛中が、タングを舞台に息づかせる苦労を打ち明けた。

同作は今夏、二宮和也主演の映画版も公開予定の、英国作家デボラ・インストールによる小説が原作。AIの開発が進む近未来、心に傷を抱えた主人公ベンが壊れかけのロボット・タングと旅をするなかで、人生の大切なものに気づいていく物語が、多彩なダンスや歌でつづられる。

生形は「タングは8キロぐらいあり、振り子の原理で動かしているのですが、最初は動かすこともままならなかった。再演を経て表現の幅が生まれ、(京都公演では)進化したロボットをお見せできるのではと思います」と、意気込んだ。

四角い頭に四角い胴体という旧式ロボットのタング。生形が頭と右手、渡邊が胴体と左手を担い、腰をかがめながらタングの動きや表情を繊細に表現する。「俳優というより、もはや職人のような感覚」という渡邊の言葉は、舞台を観れば納得するはず。目元や歩き方などを変化させ、怒ったり困ったり優しくベンを見つめるタングに、どんどん引き込まれていく。

『ロボット・イン・ザ・ガーデン』で重要な鍵となる「タング」(左)写真/阿部章仁

パペットのデザインとディレクションをおこなったのは、『リトルマーメイド』なども手がけたトビー・オリエ。「トビーさんに『呼吸と重量と焦点の3つを大事に』と言われました。パペティアはずっとタングを見るという決まりがありますが、タングはベンを見ないといけないので、焦点を合わせるのがすごく難しい」と渡邊。

また、生形は「自分たちの動きを動画におさめて、ちゃんと表現できているか何度も確認しました。私は感覚的にやりたいことがあふれるけれど、寛中(渡邊)は冷静に『それはこのシーンでは適切じゃない!』とはっきり言ってくれる。終電まで討論が終わらないことも(笑)」と、稽古場でのエピソードを明かした。

「劇団四季には『一音落とす者は、去れ』という教訓がありますが、『一足落とす者は、去れ』という気持ちでやっています」と、タングの動きについて熱く語る渡邊に、「頼もしい相棒です。その執念、一歩があるから、お客さまにタングが生きている、心があるかもしれないと思ってもらえる」と微笑む生形。強い絆で結ばれたパペティアによるタングに期待が高まる。

『ロボット・イン・ザ・ガーデン』は2月23日から4月16日まで上演。チケットはS席レギュラー1万1000円ほか。

取材・文/小野寺亜紀

劇団四季ミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』

会場:「京都劇場」京都府京都市下京区烏丸通塩小路下ル 京都駅ビル内
日程:2月23日(水・祝)〜4月16日(土)
料金:S席1万1000円、A席8800円、B席6600円、C席3300円(いずれもレギュラー)
   ※公演日によって料金は異なるため、詳細はオフィシャルウェブサイトにて

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