「こんな新幹線の駅はない」と市長、新神戸駅の再整備を発表
神戸市は1月28日におこなわれた市長定例会見で、JR「新神戸駅」(神戸市中央区)の駅前広場の再整備計画を発表。「山と街をつなぐ新神戸ハーブガーデン」をコンセプトに、生まれ変わるという。
新幹線単独駅として1972年3月に開業し、まもなく50周年を迎える新神戸駅。すぐ北側に六甲の山並みが迫り、観光名所「布引の滝」までは徒歩15分ほど、また、南側の生田川沿いは桜の名所だ。
久元喜造神戸市長は、「すごくいい場所。こんな新幹線の駅はほかにない」と魅力を語るが、その一方でどこか殺風景な空気が漂うのも事実。
それは施設の老朽化に加えて、モータリゼーション最盛期に開業したため、マイカー利用を前提とした設計になっていることも大きい。
また、駅前はバスやタクシーと一般車のエリアが混在するうえ、バス乗り場は1階と2階に分かれていたり、自動車目線の設計のため歩行者の動線もよくなく、利便性にも課題が残る。
そこで神戸市は、3つの方向性で再整備計画を策定。1つめは公共交通の利便性向上で、バス・タクシーの乗降場所を集約し、公共交通と一般車のエリアを分ける。
2つめは、周辺エリアへの歩行者動線の改善。生田川公園、布引・北野エリアなどへ行きやすい通路を確保し、案内サインを整備する。
3つめは、神戸の玄関口としてふさわしい空間づくり。駅から生田川沿いに歩行者デッキを新設し、桜並木と調和するようにハーブを植栽。マルシェなどのイベントもできるスペースにするとのこと。
これらは、2025年4月に開幕する『大阪・関西万博』を見すえ、同年3月までの整備完了を予定。久元市長は、「『さすが神戸の玄関口だよね』と感じてもらえる空間にし、気持ちよくみなさんをお迎えしたい」と話す。
阪神・淡路大震災からの復興を優先しなければいけなかった神戸は、本来すべき時期に街のリニューアルをできなかった事情がある。そのため、どこか街全体が古びた印象になっていることは否めない。
ようやく復興が一段落した現在、三宮駅周辺だけでなくウォーターフロントや郊外など複数拠点での再整備も進んでおり、神戸全体が刷新されることを期待したい。
取材・文・写真/合楽仁美
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