フランスパン、ヤンキー姿…オーダーメイド信楽たぬきが斬新

特注品の「信楽焼 ヤンキー狸」。かっこいい・・・
飲食店や家の軒先などで訪れる人を迎えてくれる置物「信楽狸(たぬき)」。そのたぬきがヤンキー風や大工さん風などさまざまな姿に変身、「欲しい」「防犯対策にいいじゃん」などSNSで話題に。
信楽たぬきってこんなに自由でいいの? ユニークなたぬきを取り扱う信楽の陶器店「まるいち本店」(滋賀県甲賀市)の店主・奥田典子さんに詳しい話を訊きました。
■ 誕生日祝いに依頼された「ヤンキー狸」
──フランスパンやチェーンソーを持ったもの、なかにはパンダ姿(!?)のものなど、これまで見たことがないユニークな信楽狸たちに驚きました。
これらはすべてオーダーメイド品なんです。最近SNSで話題になったのか、「ヤンキー狸」が再び人気です。こちらは、お父さまのお誕生日にお渡しされるためにご依頼を受け、制作したものなんですよ。大きめのサイズで価格が高額な為、現在は少し小さめの品を作って定番にしようかと考えております。
──小さめサイズだと気軽に購入して、好きなところに飾れそうですね。実家の玄関やおばあちゃんの家などにあるという方も多いと思うのですが、そもそも信楽狸はどうして人気の定番品となったのでしょうか?
たぬきの置物は、昔、ある陶芸家が、ある満月の夜にたぬきが腹鼓をうつ姿をみて、研究しながら作り始めたのがきっかけといわれております。
その後、昭和26年に昭和天皇が信楽に行幸された際、人口の少ない町民の代わりに少しでも沿道をにぎやかくするためにと、たぬきの置物を並べ日の丸をもたせてお出迎えしたのがきっかけで、そこから新聞などに取り上げられ、「信楽=たぬき」と知名度がどんどん上がっていったようです。
──そんな歴史があったんですね。
それ以降、どんどん売れ始めて商売につながり、たぬきは「商売繁盛」の象徴に。また一方で「魔除け災難除け」としても注目を集め、今もなお人気の置物です。福を呼ぶ縁起物といわれ、ご自宅用はもちろん、新築祝いや開店祝いなどのご進物にも最適です。
──奥田さんが感じるたぬきの魅力を教えてください。
一言では難しいですが、自宅に帰ったときに和ませてくれる存在ですね。家族の一員に近いものがあります。たぬきのふくよかでかわいらしい風貌は見ているだけで微笑ましく思え、それが今のストレス的な社会でほっと一息つける、いわばお世話の手間がいらないペット的な存在ではないでしょうか。

実際に、お客さまのなかにも割れたり壊れたりしてしまうと、悲しんで電話して来られ、壊れたものによく似たたぬきを買って帰られる方がほとんどです。
──家族として愛されているんですね。近年はどういった方がご購入される傾向にありますか?
案外若い方が多くなりました。でも老若男女問わず、幅広い年齢層の方々に、お好みのお顔や持ち物などで、お選びいただいております。
──福ひねりや徳利、ふくろうやかえるを持っているイメージはあったのですが、「まるいち本店」の公式サイトを見ると、マイクを持ってカラオケをしていたり、スクーターに乗っていたり、ゴルフをしていたり・・・信楽たぬきってこんなに自由でいいんですね(仕事を選ばないキティさんもいました)。
オーダーメイドでは、ご自身やプレゼントされる方の趣味や好みに合わせて制作依頼をされることが多いです。たとえば、お世話になった方の趣味や職業など。野球をされていた方は背番号を入れたり、名前を刻んだり・・・とさまざまです。
長年大工をされていた方が引退される際には、ご苦労さまの意を表してかなづちやカンナを持たせたり・・・大事な方へのプレゼントが特注品では多いですよ。
──気持ちの込もった温かいギフトですね。これからもっとユニークなたぬきが生まれそうで楽しみです。ありがとうございました!
◇
特注品のたぬきは、サイズが30cm〜2mの範囲で製作可能。すべてが手作りとなっており、手間と時間が掛かるため、小さいものでも最低5万円以上はかかるとのことだ(特注でなければ1万円以内のものも多数)。
ちなみに職人さん曰く、「信楽の土は大きいものを作るのに向いた土だからこそ、たぬきのような大きい置物が信楽では作ることができるんです。ですので、信楽たぬきなら最大2m級のサイズも! たぬきそれぞれいろんな顔があって、実際に見て気に入った子を連れて帰ってもらえたらうれしいです」と、たくさんいる信楽たぬき1体1体の個性に注目してほしいそう。
信楽焼の種類は約2500種類にものぼる「まるいち本店」。場所は信楽高原鐵道信楽線「信楽駅」からすぐ。公式サイトのオンラインショップでは信楽焼のほか、手洗い鉢や焼酎サーバー、傘立て、マグカップなども販売されている。
取材・文/野村真帆
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