大学生社長による神戸市の低価格バーガー、新規参入の策とは

ビーフ100%のチルドパティにレタスは愛媛の契約農家から、甘味を添える玉ねぎに濃厚なコクを楽しめるチーズ、さらにソースは毎朝手作りという「ブルースターバーガー」のハンバーガー
12月のオープン初日には、看板メニューがわずか5分で完売。神戸市の商店街にオープンした「ブルースターバーガー 神戸元町店」(神戸市中央区)が注目を集める理由を探った。
−現役大学生社長によるグルメバーガー店−
同店は、本格的なグルメバーガーながら最小限の人員によるオペレーションや在庫管理などを徹底し、グルメバーガー1個184円という低価格を実現したテイクアウト専門。
手がけるのは、「焼肉ライク」を筆頭にさまざまな業態の飲食店をヒットさせた「ダイニングイノベーショングループ」に属する「ブルースターバーガージャパン」(本社:東京都渋谷区)だ。
同社の代表取締役を務めるのは、現役大学生の西山泰生(にしやまたいせい)氏。1997年・東京生まれで、シンガポールとアメリカでの高校生活を経て、起業に興味を持ち始めたという。
大学入学後、ほどなくIT系の複数社でインターンを経験。「ITを活用することで、日本の飲食業界の環境改善に役立つ方法」を模索すべく、弱冠24歳にして、世界最大の外食産業である「ハンバーガー市場」を舞台に、DXを駆使したショップ展開に打って出た。

低価格の実現には、レジの無人化などのオペレーションや在庫管理のデジタル化が鍵を握るという。注文は現金決済にも対応したモバイルオーダーシステム(もしくは店頭のセルフレジ)を利用し、オリジナルアプリで最大2日先まで15分単位の時間指定で予約できる。
しかし、それ以外にも秘訣があるのでは? その問いに対して西山氏は、「メニュー数を絞ることで効率化を図り、フードロス削減も意識しています」と説明。
その分、パティの枚数をカスタマイズできる仕組みや、お店仕込みのレモネードなど、サイドメニューにグルメバーガーらしさを押し出すことで満足度を高めたと明かす。
−新規参入ゆえ、DX導入の利点を活かす−

こうした店づくりの構想にあたり、参考にしたというのが、打倒スタバを掲げ躍進した中国・深圳省発の「ラッキンコーヒー」。アプリで商品を購入し、店頭で受け取ることができるシステムをいち早く取り入れ、開業からわずか2年半で中国全土に約7000店舗を展開したヒット店だ。
同様に国内でも2019年には、「スターバックス」がアプリ上で事前購入できるシステムを順次導入。飲食業界全体でも「スシロー」が、寿司をロッカーでピックアップできるサービスを開始するなど、コロナ禍以前より各社接触を最低限に抑える取り組みは進んでいた。
しかし、国内で「ブルースターバーガー」のように根幹から業態ごと変化させた事例は少ない。大手では、なぜこうした取り組みが一気に進まないのか。
「途中からのDX導入は、浸透するまで時間もかかり、結果ダブルコストになってしまう可能性が高い。例えばレジなど、一度人を使ってしまうと、完全なセルフ化は難しいと思う。すでに多くのメニューを抱えている場合も、自動化や効率化が困難なのでは」というのが西山氏の考えだ。
まさに、新規参入のフレキシブルさゆえ、DXを前提としてイチから新業態を作り上げることができた。1号店は東京・中目黒にオープン。偶然にも新型コロナ感染症の拡大により、外食を控える動きやテレワークが加速し、デリバリーサービスが拡充。注文から受け取りまで、非接触の接客スタイルに注目が集まり、追い風となった(現在は受け渡しのみ対面スタイル)。
−神戸という土地柄に魅力、東京にも2店舗目を−

いかにもニューノーマル時代に対応した出店計画かと思いきや、企画自体はコロナ禍以前に完成しており、全国からフランチャイズ展開の打診があったという。2号店となる神戸元町店も、そのなかのひとつ。
神戸という土地柄の魅力に加え、何より人通りの多い路面店で、気軽に立ち寄ることのできる駅近というロケーションが決め手になった。すでに「味はもちろんですが、アプリでの購入フローもかなり使われています」と、西山氏は想像以上の反響ぶりをうかがわせる。
いまだ収束の兆しは不明瞭なコロナ禍だが、依然、おいしい料理が手軽に自宅で食せる中食需要は高く、すでに定着したとも言える。神戸の後も、東京・立川で3店舗目、渋谷にはコンセプトストアがオープン。「目標は全国2000店」というブルースターバーガーが起こす、飲食業界のイノベーションから目が離せない。
取材・文・写真/みやけなお
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