KIRINJI、新境地での制作「今の自分にとっては健康的」

KIRINJI・堀込高樹
■「オマーンにKIRINJIを聴いてる人が2人もいて・・・」
──ストリーミングで音楽を聴くのが主流になって、世界各国のポップスにも容易にアクセスできるようになったし、意外な国でKIRINJIを聴いている人もいるでしょうね。
インスタグラムのフォロワーやYouTubeのコメントを見ていると、スペイン語文化圏の人が意外と多いですね。最近はチェックしていないですが『Spotify for Artists』というアプリを見ると、どこの国で何人の人が聴いているかがわかる。前回見たときにはオマーンで1人だったのが、その次見たら2人になっていたり(笑)。
──オマーンでKIRINJIを聴いている人が2人に!
そのことをツイートしたら、初めてバズりました(笑)。でも、自分の知らない国でひっそり、誰かがKIRINJIを聴いている、という状況は面白いですね。

──そんなインパクトのある3曲を軸に、南米音楽のエッセンスを独自に消化した楽曲や角銅真実さんのマリンバをフィーチャーした70年代後半のフランク・ザッパを想起させる室内楽的なインストもあって、かなり多彩な全9曲となっています。キーボードに宮川純さん、ドラムに石若駿さんといったジャズ系の気鋭のプレイヤーを要所に起用している点も特徴的です。
結果的にそうなりました。曲のハーモニーやリズムがジャズっぽいので、今の新しいビートの感覚を持っているジャズ系の人にオーセンティックでストレートに演奏してもらったという感じです。
──確かに。演奏としてはストレートだけど、新しい感覚は匂わせるというか。
たとえば『曖昧me』という曲は、基本的にはスクエアなラテン・ビートが流れているのですが、宮川くんはそこにジャズ的なカウンターのフレーズを配してくれました。そうすると(ビートは)打ち込みだけど人間味のある仕上がりになる。そういったことは今回、いろんな部分でやっていますね。
シンセの感じで言えば、打ち込みでやるかスティーヴィー・ワンダーが弾くかの違いというか。打ち込みでやってもスティーヴィー・ワンダーみたいな雰囲気にはできますが、やっぱりああいう人間的な過程が入ってくると、同じ演奏でも受ける印象が違ってくる。だから、今回は今まで自分が打ち込みでやっていたことを宮川くんに弾いてもらったことで、有機的な感じになったと思います。
■ 「気になっていることを作品にしていくのは健康的」
──なるほど。そしてやはり、冒頭の『ただの風邪』や『再会』に顕著なコロナ禍での出来事をストレートに題材にした歌詞のインパクトというか。高樹さんの詞は、以前から時事ネタ的なワードを滑り込ませる面白さがありましたが、ここまでリアルタイム感のある歌詞は初めてでは?
こういう時勢に出すアルバムなので、あまりそういうことは避けて通れないなと思いました。反映させなきゃいけないとは思わないし、『気化猫』とかは全然関係ないですけど(笑)、やっぱり気になっていることをそのタイミングで作品にしていく方が今の自分にとっては健康的だし、こういうタイミングで作品を出すのもなかなかないことだから。あとで振りかえったときに、「あぁ、こんな気分だったな」とわかるといいかな、というも思いました。
──ソロ・プロジェクトに転じて初のアルバムが出来たばかりですが、聴いていると新しい体制になってやりたいアイデアはすでに豊富にあるのかな? という気もしました。
まだ何も浮かんでいません(笑)。いつも「さ、何か作ろうかな?」と思ってから始めて、作り終えてみてから「あ、こういうのが作りたかったんだな」とわかるんですよ。
もちろん、思いついたアイデアはいろいろメモしてあるのですが、意外とそれの通りにやるとつまらなかったりして、放ったらかして何年か後にそれっぽいことをやるといい感じになったりとか。あまり狙い過ぎると、どうもうまくいかないみたいですが、次はもうちょっとパーッとしたのを作ろうかなと思っています。
◇
3月5日・6日に「ブルーノート東京」で、9日に「ビルボードライブ大阪」で全6公演のライブ開催が決定。2021年5月に開催延期となっていた『堀込高樹 plays あの人が歌うのをきいたことがない』公演のメンバー(堀込高樹、千ヶ崎学、楠均、林正樹)でおこなわれる。
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