季節到来、松葉ガニ漁11月解禁の理由といまの価格は?

2021.11.21 08:15

「いちばんおいしい食べ方は、生でお刺身で食べていただくのが一番」という松葉ガニ (C)鳥取県

(写真2枚)

冬の味覚を代表するカニ。松葉ガニ漁が11月6日に解禁され、関西人の愛するカニの季節が到来した。しかし、なぜこの時季に漁がおこなわれるのだろうか。全国でカニの水揚げ量ダントツ1位を誇る鳥取県の境港水産事務所・上原佑太さんに話を訊いた。

水産庁の資料によると、富山県より西の日本海において、2020年のズワイガニの漁獲量は2700トン程度。実はこの漁獲量、1960年代半ば〜1970年頃には1.4万トン超を記録したものの、その後1990年前後には2千トン以下まで減少し、その後も上下しながら昨年程度で推移しているのだ。

上原さんは、「その資源管理のために、獲って良い時期を決めている」と説明。実際は、1府5県(石川県、福井県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県)の漁業者団体による「日本海ズワイガニ特別委員会」が例年会議をおこない、11月6日から翌年3月20日までの漁期や漁獲量、漁獲サイズなどの規制が決められるという。

カニ自体に旬の季節はないため、6日からという明確な理由はわからないものの、暑い時期だと運搬時に傷みやすく、温泉や鍋など寒い季節と親和性が高いことから、冬のこの期間を漁期に設定したのでは、とのことだ。

5日の夜には港を出て、網を入れるのが0時から。フライングしないよう、ちゃんと取り締まりもおり、漁場でカウントダウンして0時に一斉に網を入れるのが初日の恒例らしい。

鳥取の松葉ガニをアピールするため来阪したキャラバン隊。左が境港水産事務所の上原さん(11月16日・大阪市内)
鳥取の松葉ガニをアピールするため来阪したキャラバン隊。左が境港水産事務所の上原さん(11月16日・大阪市内)

しかし今年は、「初日6日の水揚げは芳しくなく、例年の3分の1程度。そのため値段は2倍程度にあがっていまして・・・」と上原さんも曇り顔。

「天候の影響で漁が思うようにいかなかったのですが、今週からは上向き加減。徐々にお求めやすい価格になってくれればと思っています」と期待する。

話によると現在は、足が折れていない松葉ガニで1杯1万円以上。しかし例年の傾向として、「たぶん11月末には落ち着いてきて1万円をきるはず。その後、12月に入ると旅館からの引き合いがあって再び値段は上がり、1月になるとまた落ち着く」と教えてくれた。

身の詰まったカニを見分けるのは、意外にも背中の黒いぶつぶつ・カニビルがポイント。「脱皮にすごいエネルギーがかかるのと、脱皮後は殻だけが大きくなり、身が大きくなるには時間がかかります。背中にカニビルがたくさん付いてる方が、脱皮から時間が経ってるため、身が詰まってます」という。

また購入の際には、もちろん重さが重要。「持ってもらうと一番重さがわかるのですが、いまはコロナの影響で難しいかも知れません。店員さんに言えば代わりにやってくれると思います」と話した。

関西では、『鳥取かに食べようキャンペーン』が実施中。「阪神百貨店」や「京都タカシマヤ」などの協賛店舗で鳥取県産のカニが販売され、「堺タカシマヤ」(大阪府堺市)では23日まで鳥取県フェアもおこなわれている。

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