アメ村「おかん食堂」、メニューを持たない定食屋のワケとは

2021.11.9 18:45

「おかん食堂」の上野由美子さん(右)と、お手伝いの息子の奥さん

(写真8枚)

動画共有サービス『TikTok』で、若者を中心にとある定食屋が話題となっている。選べるメニューはなく、その日に「おかん」が作った料理だけを食べられる。そんな都会のオアシス「おかん食堂」(大阪市中央区)を取材した。

お茶は花柄ポット、BGMは西城秀樹

店内は西城秀樹一色、ライブビデオの上映も

同店が店を構えるのは、若者の街・アメリカ村(大阪)のど真ん中。のれんの向こうには、どこか懐かしいテーブルクロスに花柄ポットなど、「いらっしゃい」ではなく「おかえり」がぴったりな、まるで実家のような空間が広がる。

そして、その懐かしい温かな雰囲気で、「行ったら泣いてしまう」「こういうのが食べたい」とティーンたちから絶賛の声を集めている同店で、キッチンもとい台所に立つのは「おかん」・・・上野由美子さん(65歳)だ。食堂内には、由美子さんが大ファンだという西城秀樹のポスターや写真がぎっしり並び、時にはライブの上映も。おかんの趣味全開な店内に、ますます親近感が強まる。

腕の見せ所は「小鉢料理」

煮魚定食

1月にスタートしたばかりだという同店。食べられる料理は1日30食限定の「今日のごはん」のみで、これまでには魚の煮付け定食や唐揚げ定食、酢豚定食などさまざまな料理を提供してきた(やはり人気は海老フライや唐揚げなどのわんぱくメニューだそう)。

一方、「実のところ、メインの料理はなんでもいい」と話す由美子さん。「思いついたものを作ってるだけです、なかにはお客さんに『カレー食べたい!』とリクエストされて作ることもあります」とし、小鉢に盛られた酢の物やひじきの煮物など、1人暮らしでは食べる機会の少ないおばんざいこそが「おかん食堂」の腕の見せ所だという。

「おせっかいですよね、きっかけは。」

そんな同店を始めるきっかけとなったのは、由美子さんの息子さんが経営するシェアハウス。由美子さんは、「息子のシェアハウスで若者の晩ご飯を初めて目にして、コンビニや買ってきたものばかりを食べてるんだって知ったんです」と、当時受けた衝撃を話す。

「これは体によくないんじゃないかって・・・おせっかいですよね、きっかけは。『ほうれん草食べとき』とか『大根おろしもあげるわ!』とか言ってたら本格的に料理を作るようになって。そしたらみんな、『今日のおかん飯なに?』って言ってくれるようになりました」と同店のバックグラウンドを語る。

花柄ポットなど、食器も実家感満載

また、アメリカ村の中心・三角公園のすぐそばに構える同店。ビジネス街でも下町でもない、若者の街に店をオープンしたことについて尋ねると、「食生活が乱れがちな若い人がたくさんいる街で、お手伝いをしたいんです・・・少しでも役に立ちたい」と話した。

人生の最終ラウンド、好きなことを

西城秀樹の大ファン! 満面の笑みの由美子さん

取材中もはつらつと対応し、西城秀樹の話になると拍車がかかったように熱が上がる由美子さん。最後には、「わたし65歳なんですけど、もう人生の最終ラウンドじゃないですか。だから好きなことやっちゃえ! って、そんな感じです(笑)」と、元気に取材を締めくくってくれた。

「おかん食堂」の営業時間は、朝11時半~夜8時、日曜休み。定食は1000円で、その日の料理内容は各SNSなどで配信している。

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