奈良のコスモス寺が見頃、今年は「美」なアイデアで参拝者増

2021.10.18 06:45

約40年前は荒れ寺だったが、現在は奈良の「コスモス寺」として親しまれる般若寺(2021年10月15日撮影)

(写真7枚)

奈良の「コスモス寺」として親しまれる「般若寺」(奈良県奈良市)で、境内の約15万本20種類のコスモスが見ごろを迎えている。

今年6月に工藤顕任(くどうけんにん)副住職が考案した「アジサイガラスボール」がSNSを中心に話題を集め、参拝者が連日行列をつくるほど人気を博した同寺。今秋は、9月から新たに「コスモスグラスキューブ」が境内に設置され、こちらも人気に。見ごろを迎えてから、平日でも1日に1000人以上の参拝者が訪れているという。

コスモスをキューブ状のガラスに浮かべた花のデコレーションは、目の届かない下の方に咲いている花を使用。工藤副住職は、「表に出すことで、下で踏まれそうなコスモスも目に留めていただけたら。お寺のなかは異空間なので、花浄土で穏やかな気持ちになってもらえたらうれしいです。『こんな花の見方があるんや』『家に帰ってから真似してやってみよう』と言う方も多いですよ」と話す。

SNSを見て香芝市から訪れたという清原さんご家族。娘のかなでちゃん(5歳)は、「カワイイ。キレイな写真をいっぱい撮れた」と小さなカメラで撮影を楽しんだ。

ちなみに今でこそ「コスモス寺」として知られる同寺だが、度重なる戦火や明治期の神仏分離令による廃仏毀釈など激動の時代を経て、約40年前に先代住職(工藤副住職の祖父)が管理を任されたときは、檀家を持たず荒れ寺状態だったという。

しかし、境内に咲く一輪のコスモスの姿がきっかけで、「多くの人々にコスモスを見ていただき、心を穏やかに持って欲しい」と境内を耕し、毎年自分たちでコスモスの苗を育て、現在の姿まで復興。最近は工藤副住職が自ら撮影し、SNSにアップする彩り鮮やかな花の写真でさらに知名度をあげている。

同寺では今年から、初のコスモスの刺繡が華やかな御朱印帖(2700円)も販売され、こちらも人気。今年はコロナ禍のため、秘仏の秋季特別公開を中止。コスモスの最盛期は今週中で、10月いっぱいまで見頃とのこと。

取材・文・写真/いずみゆか

「法性山 般若寺(コスモス寺)」

住所:奈良市般若寺町221
拝観時間:9:00~17:00(最終受付16:30)
※短縮拝観時間(1月・2月・7月・8月・12月)9:00〜16:00
拝観料:拝観料大人500円、中・高生200円、小学生100円
電話:0742―22―6287

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