真逆の個性が対峙する、ドイツ人美術家・ボイス&パレルモの2人展

ヨーゼフ・ボイス《プライトエレメント》 1985年、ブリンキー・パレルモ《無題(布絵画:緑/青)》 1969年
第2次大戦後のドイツで最も重要な美術家の1人、ヨーゼフ・ボイス(1921~1986)と、彼の教え子であり30代で早逝した画家ブリンキー・パレルモ(1943~1977)。2人の作品を紹介する展覧会『ボイス+パレルモ』が、「国立国際美術館」(大阪市北区)でおこなわれている。
雄弁で外向的だったと言われるボイスと、寡黙で内向的なパレルモ。一見、両者のベクトルは真逆だが、ボイスはパレルモのことを「自身に最も近い表現者」と評していた。布絵画に見られる脱・既成概念的な方向性や、現実の社会と直接リンクする壁画など、パレルモの作品姿勢に自身との共通性を見出していたのであろう。
ボイスは「拡張された芸術概念」「社会彫刻」「人は誰もが芸術家である」と言った言葉を残しており、アクション(パフォーマンス)などの活動を通して、社会変革を訴え続けた。本展では、そんな彼の1960~70年代の作品を中心に約80点を展覧。7点の映像作品や初期のドローイング、また日本初お披露目となる、4mを超える柱と長い金属の杖で構成された彼の代表作『ユーラシアの杖』は圧巻ものだ。
一方教え子・パレルモの作品は、色面で構成されており、極めてシンプル。何をどう描くかよりも、色と形と空間の相互作用=絵画の構成要素自体に目を向けているのだ。既製品の布を組み合わせた「布絵画」や建築空間と一体化した「壁画」、小さなパネルを組み合わせた「金属絵画」など約50点が展示されている。
本展を通して、観客は考え込むことになるだろう。2人の作品を見る、比較する、思考する・・・。そのサイクルの中で解が得られるとは限らないが、「分からなさを楽しむ」のも現代美術の醍醐味だ。開催期間は2022年1月16日まで、一般1200円ほか。
取材・文/小吹隆文(美術ライター)
『ボイス+パレルモ』
日程:10月12日(火)~2022年1月16日(日) 月曜・12/27(月)~1/3(月)休 ※1/10(月・祝)は開館、1/11(火)休館。
時間:10:00~17:00、金土~20:00 ※入場は閉館30分前まで。
会場:国立国際美術館 大阪市北区中之島4-2-55
料金:一般1200円 大学生700円
TEL:06-6447-4680(代)
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