初の特別御朱印も、奈良・興福寺の「五重塔」が特別公開

2021.10.11 06:45

約120年ぶりの大規模修理前に特別公開される世界遺産・興福寺の五重塔(国宝)(2021年10月9日撮影)

(写真7枚)

約120年ぶりに大規模修理を予定している世界遺産・興福寺の「国宝・五重塔」(奈良県奈良市)が、10月9日から特別公開をスタート。同寺の五重塔としては初となる「特別御朱印」の授与もおこなわれている。

今回の特別公開について、「猿沢の池に映る五重塔は日本を代表する景観。大修理前に少しでも多くの方に現在のお姿を観ていただけたら。そしてコロナ禍でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするためです。5度の火災に遭ってもその都度、不死鳥のごとく復活してきた歴史と力強さを皆さんに感じていただきたい」と、興福寺の森谷英俊貫首は説明する。

通常非公開の初層内陣を約5年ぶりに特別開扉し、心柱(しんばしら)を中心に塔本四仏(東方の薬師如来像、南方の釈迦如来像、西方の阿弥陀如来像、北方の弥勒如来像)と脇侍をあわせて計12躯を参拝、心礎の上に建つ心柱の状態を特別に観ることができる。

今回はあわせて五重塔柵内で、初の「特別御朱印」(300円)の授与がおこなわれるのも注目だ。五重塔の印が押され、「釈迦如来」と墨書きが入っている。これは舎利(お釈迦様の遺骨)を納める五重塔がストゥーパ(仏塔)だからこそとなっている。

初日の朝9時から多くの参拝客が訪れ、大阪府の北摂エリアから訪れた近藤さん、宮野さん(50代女性)は、「塔内を観たのは初めて。仏様をそのまま残してきたことが伝わってきます。期間中に友人とまた訪れます」と感動した様子だった。

同塔は、天平2年(730)に興福寺を創建した藤原不比等の娘・光明皇后(夫は聖武天皇)の発願により建立。5度の焼失と再建を経て、現在の姿は1426年の室町時代に建てられたものだ。今後大修理に入ると、素屋根で塔が覆われるため、最低でも5年以上は外観を眺めることができなくなる。

特別公開は、前期が10月9日~11月23日、後期が2022年3月1日~3月31日。拝観料金は大人・大学生1000円ほか。期間中は、新潟の八海醸造とコラボしたオリジナル日本酒(樹閒)の2000本限定販売や、10月下旬から11月の金・土(除外日あり)に初となる五重塔の「夜間特別開扉」などがおこなわれる。詳しくは公式サイトにて。

取材・文・写真/いずみゆか

興福寺国宝特別公開「五重塔」

期間:2021年10月9日(土)〜11月23日(祝・火)、2022年3月1日(火)〜31日(木)
時間:9:00〜17:00
住所:奈良市登大路町48
拝観料金:大人・大学生1000円、中高生600円、小学生400円
電話:0742−22−7755

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