最後の日本兵を映画化、フランス人監督が描いた理由とは?

2021.10.20 19:30

ルバング島に残留していた小野田寛郎(遠藤雄弥・左)、小塚金七(松浦祐也) (C)bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma

(写真7枚)

「その場所に制限されずに自由に撮るという目標があった」

──キャストの話になりますが、遠藤雄弥さん、松浦祐也さん、カトウシンスケさん、井之脇海さん。ルバング島で生き残った4人を演じるのは今、日本の映画界には欠かせない実力派ぞろいです。彼らはオーディションで選ばれたんでしょうか?

キャスティングには1年以上かかったんです。日本でのキャスティングディレクターがいろいろ提案してくださって、フランスにいる僕がときどき日本に行って演者さんに会ったりというのを繰り返していたので。井之脇さんに関しては、『トウキョウソナタ』を見て彼の演技に感動したというのがあったんですが、そのほかのみなさんに関しては、彼らの演技を見て依頼するまでに、かなり時間がかかりました。

※編集部注/『トウキョウソナタ』:2008年の日本、オランダ、香港の合作映画 井之脇の子役時代の出演作

左から、松浦祐也、カトウシンスケ、井之脇海、遠藤雄弥 (C)bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma

──この4人、今ではものすごい量の日本映画に出てられるんですけれども、この映画のキャスティング時点では、まだそれほど露出がなかった頃だと思います。なかなかの審美眼ですね。

長い時間をかけて、じっくり選ぶことが出来ましたしね。でも、役者の方々の個性と演じてもらいたい役とのバランスもすごく重要ですから。でも、私が選んだ俳優さんたちがそんなに活躍されていると聞くのはとてもうれしいです。

──いわば大御所格になるイッセー尾形さんとか嶋田久作さんとかもオーディションですか?

いやいや、すでに素晴らしい俳優さんだということを沢山の作品を見て知っていたので。

──イッセーさんなんかは海外の映画にも出てられますしね。ちょっと面白かったのは小野田のお父さん役として諏訪敦彦監督が出演されています。アラリ監督は諏訪監督の『ライオンは今夜死ぬ』(2018年)に出演されているということなんですが、どの役で出てられたんでしょうか?

映写技師の役をしていました。映画の中心は子どもたちと主演俳優のジャン=ピエール・レオーですから。そこまで重要な役ではなかったですけど。あるタイミングで諏訪監督と話し合う機会があって、今回出てもらうことになったんですよね。

──ところでこの映画、3時間近い長尺を飽きさせずに魅せるのは、カメラの美しさもあると思うんです。とにかくジャングルのシーンが圧倒的ですね。最後のクレジットを見ると大体カンボジアで撮られたようなんですが。

ものすごく貴重な経験でした。もちろん撮影が可能なところを選んで撮っているので地獄のような日々ではなかったですけれども。とはいえ、今までではあり得ない環境でしたしね。

──実に美しい。あの環境のなかでもカメラの流麗さがとても印象的です。

その場所に制限されずに自由に撮るという目標があったんです。例えば上空に上がっていくカットだったりとか、普通であればジャングルのなかで撮りにくい場面ですが、そういったものも積極的に取り入れたいという気持ちはありました。

──監督は溝口健二(日本を代表する映画監督)が大好きだということですが、確かに溝口の、特に宮川一夫の『山椒大夫』あたりのカメラとかに通じるものを感じます。

そう言っていただけるのはすごく光栄です。兄のトムが撮影をやってるので、大喜びすると思います(笑)。

──エンド・クレジットではカンボジアの代表的監督、リティ・パンのプロダクションの名前が出てきますね。

はい、ただ僕自身は直接の面識はないんです。でもカンボジアではすごく重要な存在なので、彼がやってるプロダクションで経験を積んだり学んだ人たちがこの作品に多く参加してくれています。ですからクレジットに入れています。

映画『ONODA 一万夜を越えて』

現在公開中
監督:アルチュール・アラリ
出演:遠藤雄弥、津田寛治、仲野太賀、松浦祐也、ほか
配給:エレファントハウス

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