最近、ヨーグルトの蓋なめてる? 大阪で生まれた画期的な発明

2021.9.12 07:45

「トーヤルウルトラロータス」の包装材料を持つ「東洋アルミ二ウム」箔事業本部・営業担当の東清久さん(左)。群馬製造所からリモート取材参加の開発担当・関口朋伸さん(大阪本社にて撮影)

(写真7枚)

ヨーグルトを開けた時、「もったいない」と蓋についた分をなめたことがある人は多いのでは? だが、近年はそんな状態になりにくい蓋が増加しているのにお気づきだろうか。

「ペロリ」と行儀悪くならずにすむ、画期的な包装材料『トーヤルロータス』を手がけたのが実は大阪の企業「東洋アルミ二ウム」(本社:大阪市中央区)だ。箔事業本部・開発担当の関口朋伸さん、営業担当の東清久さんに開発理由を訊いた。

◆「お稲荷さんにお参りしていて、閃いた」

──確かに小さい頃はなめていたのですが、最近なめていないことに気づきました。開発するきっかけは?

関口:森永乳業さんから、長年の夢であるヨーグルトが付着しにくい蓋材が実現できないかご依頼をいただきまして。お客さまから、蓋につく分が飛び散る、子どもがなめて不衛生、捨てる時の水洗いが不便などの声が寄せられていたそうです。

──これまでありそうでなかったですものね。大変だったのでは?

関口:失敗の連続で、よく製造所のお稲荷さんにお参りしていたんです。ある時、隣に広がるハスの沼に目がいきまして、ハスの葉の上では水がコロコロとした水玉になるなと。そこで、顕微鏡で表面を拡大して見ると、無数の細かい突起物があり、水をはじいていることが分かったんです。

──そんな偶然あるんですね!

関口:はい。そこで名前にも「ロータス(蓮)」をつけました。自然界の物理的な凸凹の構造を蓋にも取り入れ、ロウのような撥水性があるハスの成分も参考にしています。

──開発で1番苦労した点は?

関口:本来、蓋は容器に接着させるものですが、その「ヒートシール」は撥水性と反対の性質なので、『くっつける』『はじく』の両立が大変で。イタチごっこをしているようでした。さらに、開封のしやすさ、輸送での耐久性など、試行錯誤の末、開発には約10年を費やしました。

左は従来のヨーグルトが付着しやすい蓋、右は「トーヤルロータス」包装材料の蓋(写真提供:「東洋アルミ二ウム」)

◆「舐めるのが好きだったのに」という声も・・・

──商品化されて、反響はありましたか?

東:日頃メーカーにはお客さまからの要望が多いそうですが、この蓋には「食べやすい」など、珍しくお褒めの声が多数寄せられて驚いた!と言ってもらえたのが1番うれしかったですね。

ただ、一般の方の反応で『蓋に付いたのをなめるのが好きだったのに』という声には、なるほど、そんな逆の視点もあるのだ、と(笑)。

──確かに、みなさん一度は蓋をなめたことがあるのでは、という気もします!

東:そうですよね(笑)。ちなみに、蓋に付いたヨーグルトは内容物の約4~10%とも言われ、年間消費に換算するとかなりの量になるので、この開発が食品ロス低減にもつながればと思っています。

──そんな効果もあるんですね! 今後はどんな展開を予定されているんですか?

東:2010年に開発してから徐々に広まり、現在は国内(ソフト)ヨーグルト蓋材の約8割を占めており、この技術を応用した撥油性の『トーヤルウルトラロータス』も開発し、クリスマスケーキのサイドカバーフィルムに採用されています。今後は医療系用品や工業材などにも広げていきたいです。

──最後に、日々心がけている開発や商品についての思いを教えてください。

関口:お客さんとのコミュニケーションを大事にし、少しでもストレスをやわらげるよう、役に立てることがないかと考えています。『困ったこと』にいろんな可能性があるので、未知のジャンルにも目を向けていきたいですね。

東:利便性だけでなく、(環境問題など)SDGsへも貢献できれば。日常生活で『当たり前にあきらめていること』を『新しい当たり前』に変え、成長していけるよう常にアンテナをはっていきたいです。

新機能性アルミの用途を広げる箔事業以外にも、食材がくっつかないアルミホイル、耐熱性紙コップなど、エコで便利な日用品を展開している同社。創業90周年を迎え、独自の技術をもとに社会の難題を解決すべく、開発を続けている。

取材・文・写真(一部)/塩屋薫

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