吉井和哉×滋賀の蒸溜所、人生を投影させたウイスキーを発売

2021.8.18 19:45

アーティスト・吉井和哉

(写真2枚)

THE YELLOW MONKEYのボーカリストで、ソロミュージシャンとしても活躍する吉井和哉が、自らの人生を投影させたウイスキー「YAZUKA(ヤズーカ)World Whisky」を8月19日から数量限定で発売する。

吉井とウイスキーの運命的な出会いは2005年、1stソロシングル『BEAUTIFUL』のジャケット撮影のため、今では観光地となったスコットランドのエジンバラの処刑場を訪れた際に遡る。その日の夜、港町の小さなレストランで隣合わせた現地の男性にスコッチウイスキーを勧められ、その味わいに衝撃を受けた彼は、ウイスキーの魅力に傾倒してゆき、「いつか自身の人生を投影したオリジナルのウイスキーを作りたい」と思い描くようになったという。

そして、父の影響で好きになった趣味の釣りで頻繁に訪れるようになった琵琶湖にウイスキーの蒸溜所があるという噂を聞いた吉井は、「長浜浪漫ビール」(本社:滋賀県長浜市)が運営する日本最小規模のウイスキー蒸溜所「長濱蒸溜所」とともに未知の冒険へと踏み出すこととなった。

◆楽曲をオーディオで樽に聴かせながら熟成

左から「Father」「BEAUTIFUL」(8800円)

今回「人生を表現するウイスキー」という命題に対して、吉井が考案したテーマは「Father」と「BEAUTIFUL」。「Father」はイエモンの1995年のアルバム『FOUR SEASONS』に収録された、吉井が父親に対する想いを歌った楽曲だ。旅芸人を生業とした父は吉井が5歳のときに26歳で早逝したが、その後の彼の人格形成に多大な影響を与えたのはファンなら周知の通り。

父と過ごした日々に改めて思いを馳せた吉井は、この不透明な時代を生き抜くために必要な、強く明るい生命の力をイメージ。しっかりとした軸のある力強い骨格とやさしく包み込むような味わいのウイスキーを目指したという。

また「BEAUTIFUL」は前出のソロシングルとなった楽曲。スコットランドで出会った本場のスコッチウイスキーは、当時イエモンの活動を休止し、さまざまな葛藤のなかにあった吉井の心に異国の風景とともに深く染み渡り、その後のソロ活動の成功、そしてバンドの再集結へと繋がるきっかけにもなった。「BEAUTIFUL」は、そんな苦しみや悲しみを乗り越えた大人の男から香り立つピーティな苦みと甘さが繊細に表現されている。

いずれも理想の味にたどり着くまで、「長濱蒸溜所」のマスターブレンダーとともに徹底的にブレンディングとテイスティングを繰りかえし、それぞれのテイストに合わせて「Father」はバーボン樽、「BEAUTIFUL」はシェリー樽を追加熟成に使用。同蒸溜所の熟成庫で名前の由来となった楽曲をピュアオーディオで樽に聴かせながら熟成することで、楽曲の世界観をウイスキーに染み込ませたというこだわりの逸品だ。

この「YAZUKA」シリーズの発売にあたり、吉井は「こだわりがスーツを着て歩いているような伊藤社長、並びにスタッフの方々と全ての思いが無理なく自然に打ち解け合い、最高のウイスキーが生まれ、目標としていた父の50回目の命日に発売されることになりました」と経緯を説明。

そして「ちなみにエジンバラの処刑場の横には『he last drop』という有名なパブがあり、受刑者が処刑される前に最後の酒を飲ませてくれる場所だった、と言う話を聞き、自分のなかであのときのウイスキーは『懺悔の酒』という意味合いがあります。極めて個人的な想いで申し訳ないですが、どんな酒にもストーリーがあるはずです。僕の曲を聴いてくださるように、このウイスキーを味わっていただけたらうれしいです」とコメントを寄せている。

ミュージシャン・吉井和哉の人生とロマンの結晶とも言える、世界にただひとつしかないウイスキー。そのドラマチックで繊細な味わいを秋の夜長にひとり、じっくりと楽しみたい。各8800円。公式サイトでの先行販売分は完売。全国の酒販店やオンラインショップで8月19日・昼12時から販売される。

文/井口啓子

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本