現役大学生・Vaundy「音楽はデザイン的じゃないと」
ジャンルが違うという感覚は僕にはあまりない
──Vaundyさんの音楽は、ロックもヒップホップもR&Bもシンセ・ポップも、いろんな要素が最初から混ざっている感じですけど、特に影響を受けたミュージシャンなどはいますか?
特に受けたかはわからないですけど、サカナクションとかはよく聴いていて。サカナクションのテクノをポップス化していく作業は、すごく面白いなと思っていました。好きなんだなというのが伝わるし、でも、ちゃんとメロディアスでポップス化しているというか。
ただ、この人を目指してみたいなのはあまりなくて、「自分の作りたいものは何だろう?」ということを常に考えていますね。で、現代のオリジナルって、散らばっているピースを面白くハメることだと思うんです。持論ですけど、真のオリジナルというか、音楽の進化ってたぶん80年代か90年代には終わっているんじゃないかと思っていて、そこから先は組み合わせの文化で、そのなかでも日本の音楽で進化をしたのがアニソンだと思っているんですけど。
──アニソンですか。
どう考えても日本のアニソンって、世界中のどこを探してもあのジャンルしかないですし。コード進行はジャズだったりとか、いろんなものが混ざっているんですけど、どこを探してもアニソンに似た曲ってないし、日本独自の進化をした音楽かなと。僕は中学生くらいからそう思ってきました。
音楽で日本から世界に行くならアニソンしかないし、もしそれ以外の方法を取るのであれば、ほかの技術を身につけなきゃいけないというので、デザインとか写真とか映像とかを一緒に勉強しているところがあって。最終的には海外で「面白い日本人が来たぞ!」ということでビルボードとかに載る人間になりたいと思っているんですけど・・・わかんないですけどね(笑)。とりあえず、それで20年くらいは頑張ってみようかなと。
──今年に入ってからもコンスタントに新曲をリリースし続けていますが、最近の曲はちょっと音のタッチが以前と変わってきている気がします。
そうですね。『融解sink』とかは結構昔に作った曲でしたけど、確かに今出てきている曲のほとんどは『Strobo』の後のものなので。自分の考え方とかアイデアを実験し始めて、ちょっと時間が経っている感じですかね。ただ、ジャンルが違うという感覚は僕にはあまりなくて、普通に見たら違うっちゃ違うんですけど、ジャンルを変えようと思って作ったことは1回もなくて。変わっちゃった、に近いですね(笑)。
──確かに、ロック色の強い曲が少し増えてきましたよね?
ジャンルって、リズム・パターンの違いだけだと僕は思っていて。特に『benefits』(今年6月リリース)はロックというか、雑を極めようという気持ちでやってました。それこそ、ニーズに応え過ぎないというか。ま、(聴き手が)これが好きだろうなという気持ちでやってはいるんですけど、僕が好きなモノをやろうというので出来ていますね。だいぶ攻めたサウンドにしているので。
言葉に出すというのは、ホントに大事なことだと思う
──そして、続いて7月に発表された『花占い』(現在放映中のTVドラマ『ボクの殺意が恋をした』の主題歌)は、一転してダンサブルな曲調になっていますが。
ドラマに寄り添い過ぎず、でも、映像と一緒に聴いたときにドキドキしてもらいたいな、というのが前面に出たような曲ですね。寄り添い過ぎてしまうと、逆にドラマに集中できないというか。ある程度ちょっと違う方がセリフとかも入ってきますし、あくまでも補助になれるように。でも、音が聞こえてきたら「ナニ?」と画面を見たくなる曲にしたいな、というのはありました。・・・ま、なかなか言うのは簡単なんですけど(笑)。
──ココまでの発言も全部そうですが(笑)、それを実行できているのがすごいですよ。
昔から、口に出して言うことでやらなければいけないという風にしているので。ホントに小学生の頃から「オレは歌手になる」という話をしていたし、成人式にライブをやったんですけど、それも同じ頃から決めていたことで。言葉に出すというのは、ホントに大事なことだと思っています。自然と頭のなかやマインドの針が、フッとそっちに向いていくので。
──最近の曲は、ご自身のなかではどのあたりが最も変化してきていると感じていますか?
関わってる人とか、かな。『strobo』までは基本的に「ひとりのグルーヴ」で作っていってたんですけど、だんだんと(楽曲制作に)関わる人数が増えてきて、明らかにダイナミックさが変わってきているし、ひとりの音楽からいろんな人が入った音楽になってきている。
やっと人に少し任せられるようになったというか、ひとりで全部やる癖がずっと強く付いていたんですけど、その部分を人に任せた方が良いものが出来るという期待をもって音楽を楽しめるようになってきましたね。もちろん今でもひとりで作ることもいっぱいあるんですけど、コレはこの人に頼んだ方がもっとカッコ良くなるな、という幅が増えてきたイメージです。
──Vaundyさん特有の強いメロディと歌が中心にあって、そこにドラマーのBOBOさんをはじめとするさまざまなスペシャリストがパーツとして加わるようになってきたと。
そうですね。広がりがあって、でも、芯の部分では、それをちゃんと引っ張るメロディを僕がちゃんと作れるようになってきたのかなというか。やはり、それだけの芯や固さがメロディにないと、バッキングのメンバーに負けちゃうんで・・・そこを意識して作るようになってきたかもしれないですね。
──最後に。関西では待望のワンマンツアー『HINODE』が10月4・5日に「Zepp Osaka Bayside」(大阪市此花区)で予定されています。
5都市7公演を巡る、初の全国ツアーになるんですけど、歌と照明で作り込んでもっとしっかりとグルーヴ感を出して、また来たいなと思わせながらVaundyの新しい幕開けみたいなものをしっかりと見せられたらなと思っています。ライブは音源とはまったく別のエンタテインメントと考えているので、ライブに来て良かった!と思ってもらえるように頑張ります。
Vaundy one man live tour『HINODE』
日程:2021年10月4日(月)・5日(火)
時間:18:30〜
会場:Zepp Osaka Bayside(大阪市此花区桜島1-1-61)
料金:6900円(ドリンク代別途要・全席指定)
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