ヒゲオヤジ、ロック…手塚治虫の名脇キャラクターに迫る企画展

2021.7.3 07:15

ヒゲオヤジ、ロック、アセチレン・ランプなど、複数の手塚作品で活躍する43名のキャラクターの経歴が紹介される

(写真12枚)

主役とともに作品を盛り上げ、近年はスピンオフによる主役作品も作られている脇役たち(=バイプレイヤー)。そんな名脇役、なかでも漫画の神様・手塚治虫のキャラクターにスポットを当てた企画展『手塚マンガの名脇役たち』が開催されている。

同じキャラクターが役を変え、複数の作品に登場する手塚作品。これは映画界などで人気役者を中心に企画を立てる「スター・システム」を元に、手塚がキャラクターを役者に見立てた手法で、「読者が(キャラに)愛着を持ってほしかったから」との思いがあったそう。

今回は会場を架空の芸能プロダクション「オサムシ スタディオ」に設定し、何作にも出演したバイプレイヤーたちの経歴を、在籍する役者のようにパネルで紹介。デビュー前の習作『オヤヂ探偵』に初登場し、手塚作品に必須の存在と言われる「ヒゲオヤジ」、当初は善人役が多かったが『バンパイヤ』の悪役が大当たりし、女性人気も高いという「ロック」など、個性豊かな43名が勢ぞろいする。また、おなじみの「アトム」「ブラック・ジャック」らの主役作以外での意外な役回りにも注目だ。

架空の芸能プロダクション「オサムシ スタディオ」の応接室をイメージした展示会場

ほかにも、手塚がデビュー直後に作り、各キャラクターの特徴、架空の所属事務所や出演料まで書かれている『スター名鑑』(実物)、オールキャストが夢の競演を果たした『ブラック・ジャック』の直筆原稿など約100点がそろう。

見どころについて、同館の矢野喬士さんは「約700作品を手がけた手塚治虫は、キャラの個性を引き出すためプロデューサーのように配役を変えていたのではないか。見る側もキャラを役者として考えたら、1つの作品以外の別の顔を想像する余地や好奇心が生まれますよね。新たな視点で、手塚作品の奥行きやメタ構造を楽しんでもらえれば」と話す。

会場は「手塚治虫記念館」(兵庫県宝塚市)で、期間は10月25日まで(水曜休/7月21・28日、8月中の水曜は開館)。入館料は大人700円、中高生300円、小学生100円。

取材・文・写真/塩屋薫

『手塚マンガの名脇役たち 手塚治虫の「スター・システム」』

期間:2021年7月2日(金)~10月25日(月)
会場:宝塚市立手塚治虫記念館(宝塚市武庫川町7-65)
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
料金:大人700円、中高生300円、小学生100円
電話:0797-81-2970

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