コロナ支援「ありすぎてわからない」問題、神戸が助っ人募集
神戸市が6月24日の市長定例会見で、コロナ支援を希望する人をサポートする人材「行政支援獲得サポーター」の新設を発表。副業人材として10人程度を募集するという。
自営業者や中小企業を中心に、コロナ禍によって事業や生活が苦境に立たされている人は少なくない。そのため、国の「持続化給付金」や「家賃支援給付金」をはじめ、都道府県や市町村も、独自のコロナ補助金や支援策を打ち出している。
しかし「支援メニューがありすぎて情報をキャッチしきれない」「どの支援が自分に合うのかわからない」というのが、事業者の正直な気持ちではないだろうか。
久元喜造市長も以前から「支援メニューに関する情報に一覧性がなく、必要書類もバラバラで複雑。本当に必要な人に届いているのだろうか」と疑問を感じていたという。
事実、神戸市が2020年に実施した支援事業に参加したアーティストに聞き取り調査をおこなったところ、行政へ補助金・助成金の申請を「していない」「あまりしていない」と答えたのが合わせて53.7%、アーティスト活動の悩みを誰にも「相談していない」のは64.5%に上った。
その一方で、補助金の申請サポートがあれば「利用したい」と答えたのは91.4%で、そのうち6割近くがオンラインでの相談を希望。「行政支援へのアクセスが難しい一方で、相談に対するニーズは高い。丁寧なサポートがいるのではないか」(久元市長)と、同市は制度の創設を決めた。
本事業では、支援を受けたい事業者と同サポーターがオンラインで面談。その人の状況に合った支援メニューの提案やアドバイスがおこなわれる(申請の代行や申請書の添削はおこなわない)。
サポーターとして公募されるのは、(1)文化芸術分野と(2)産業振興分野に各5人程度で、社会保険労務士や行政書士などの有資格者のほか、文化芸術事業の計画立案や補助金申請の経験が詳しい人が対象となる。
しかしこの事業、サポートを受けたい人が多いことは予想できるが、特に芸術分野で「申請が得意だからサポートを手伝いたい」という人がそんなに都合よく集まるのだろうか。
その疑問を、担当の多名部重則広報官にぶつけたところ、「文化芸術を企画・運営する人材には、(計画書の作成や補助金申請などが)得意な人も多いはずです。そうした人材の掘り起こしにもつながれば」と説明。久元市長も、「実験的な取り組みなので、うまくいけば広げていきたい」と語った。
「行政支援獲得サポーター」は、神戸市役所への出勤の必要はないフルリモート勤務で、業務は1カ月に数時間程度、報酬は相談1件(1時間)につき5000円の想定。7月23日まで募集しており、サービス開始は人材の応募状況によって柔軟に対応するとのこと。
取材・文・写真/合楽仁美
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