神戸市のコロナ病床占有率96%超、市長「局面が変わった」
大阪・兵庫・京都を含む7府県に1月13日、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発出。同日、神戸市の陽性者数は初めて100人を超える103人、14日は110人と、連日最多件数を記録した。
これを受けて、神戸市の久元喜造市長は1月14日の定例会見で「緊急事態宣言の発令によって(コロナ対策の)局面が変わった」とし、市民の行動変容を強く訴えた。
同市では、第1波から全期間を通じたクラスターのうち78.3%が、病院、高齢者・障害者福祉施設で発生している。患者の増加に伴い、治療・世話に当たる職員が感染し、軽症のため早期発見が困難で拡大してしまうケースもあるという。
そして深刻なのは、市内の病床占有率が96.2%、重症者用病床も39床のうち37床が埋まり、医療体制が限界に近づいていることだ。あと25床の確保に向け全力で調整するも、目処が立っていないという。
神戸市は、第1波直後からさらに大きな感染の波が必ずくると想定し、基幹病院の「神戸中央市民病院」(神戸市中央区)に臨時の重症者用病棟を2020年秋に完成させている。
久元市長は「それでも急激に感染が広がってきた」とし、「今のまま感染拡大すれば通常医療や救急を縮小する必要があり、助かる命も助からない状況になりかねない」と危機感を募らせた。
感染拡大を食い止める方法として、「人混みの多い場所への不要不急の外出を避ける」「大人数での会食を避ける」「少人数で飲食の場合も、食事中は会話を控え、できるだけ距離をとる」「在宅勤務、ローテーション勤務、時差出勤の徹底」を市民に要請した久元市長。「市民のみなさん一人ひとりの自覚、努力、行動が必要です」と、語気を強めた。
そんななか、期待されるのがワクチン接種だ。国の施策だが、接種作業は基礎自治体(市町村)が担う。神戸市は1月1日から接種場所の確保や医療機関との調整を始めており、18日には「ワクチン接種対策室」が発足する。高齢者には4月、一般市民には5月以降の接種を見込んでいる。久元市長は「国の方針が示されれば、ただちに作業を進めていきたい」と話した。
取材・文・写真/合楽仁美
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