緻密すぎる消しゴムはんこ、その根底にあるのは奈良愛だった

2021.1.3 19:15

1月4日・21時からウェブショップにて販売されるという「十二支はんこ」

(写真14枚)

みなさん、「消しゴムハンコ」を作ったことはありますか? 小学生の頃、自分の名前や好きなキャラクターを彫った方も多いのではないでしょうか。その消しゴムハンコの繊細さでたびたびSNSで話題となっているのは、奈良在住の作家・つまびきやさん。

手彫りの消しゴムハンコを用いて幅3センチ程度の小さな本「豆本」を作り続ける彼女。「つまびきや」として活動するナカノさんは奈良生まれ・奈良育ちの会社員で、美術の学校へ通ったことはなく、その情熱の根底にあるのは「絵が好き」「ものづくりが好き」「奈良が好き」という3つの想いだという。

「7年ほど前に郡山で開かれた『ヒトタライ古本市』というイベントが、制作のきっかけです。金魚の品評で使用する真っ白な琺瑯(ほうろう)のタライで古本を販売するというもので、せっかくなので出店したいなあと思っていました。その参加資格が『金魚に関係する本』だったんですが、金魚の本を持っていなくて・・・」と、当時を振りかえるナカノさん。

消しゴム版画で作る「総版画豆本」。作品によって文字(2〜3mm角)の雰囲気も変えている

「でも、小さい本なら作れるかも?と思って、『豆本』に目をつけました。パソコンは使えないけど、絵が得意だしものづくりが好きなので、消しゴムハンコなら10冊くらいは作れそうだな、とネットで調べながら自己流で作ってみたのがはじまりです。イベント当日は、すぐ売り切れてうれしかったですね」と話す。

豆本は、しっかりとしたカバーで覆われた古風なものや英字で描いたヨーロピアンのものなどさまざま。1作品の構想に2〜3年、製作に1カ月ほどかかるという。世界最古の印刷物『百万塔陀羅尼経』を彫って巻物にしたり、真ん中を丸く切り抜いて中原中也の詩『湖上』の作品内にでてくる「月」を表現するなど、ひとつひとつこだわりを持って丁寧に作られている。

気の遠くなるほど細かい作業

挿絵も文字もすべて、消しゴムハンコを作って捺して・・・気の遠くなるような作業だが、ナカノさんは「普段は仕事をしているので、週末に彫ったり捺したり作業をして、平日は乾かしたりプレスしたり放置する時間に充てています。製作過程に時間がかかるのでちょうど良いんですよ」と話す。

「普通なら多くの人が関わる本づくりの工程を、ひとりでおこなっているので大変ですが、豆本はひとつの詩や絵本など小さな世界を、一冊で表現できるのが楽しい」と笑顔で話すナカノさん。

50音順で奈良を表現した豆本

そのなかでも、特に思い入れがあるというのが、絵版画豆本の「ならえほんシリーズ」。「50音で奈良に関係するものを紹介している作品です。奈良が好きだからこそ、作っていて楽しいですね。奈良県民が『奈良には何もない』とよく言っていますが、『何もなくない!』と思い、作りました。地元の方にも手に取ってもらいたいです」と勧める。

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