谷垣健治監督「ドニー・イェンには、最高か最悪しかない」

ドニー・イェンの特殊メイク姿。左遷されてしまい自堕落な生活を送り、体重が急増してしまった刑事フクロンを演じる。(C)2020 MEGA-VISION PROJECT WORKSHOP LIMITED.ALL RIGHTS RESERVED.
「丞威は英語の方が出来るくらいですから、ドニーとも相性が良かった」
──テレサも奥さん役として、ウォン・ジンの暴走を抑えにかかってますよね。いい感じの掛け合いを繰り広げて。それに敵役の丞威(じょうい)がすごく良かった。
良かったでしょ? ドニーがあんだけ太っても素早くてパワフルな拳を持ってるんだから、丞威にはカミソリのような切れ味があるといいよねぇ、って。
──彼ってあんなにアクションできたっけ?みたいな。
彼はすごいですよ。数年前、スタントマンに今の役者でアクション誰ができるのかって聞いたら、けっこうな割合で「丞威くんはヤバいっすね」ってなってて。ダンスができるイメージはあるんだけど、極真空手もやってるし、何よりアクションがアグレッシブなんですよ。スタイリッシュなアクションは誰でもできるけど、その殴りにいってる感じが殺陣で出せるのっていう人はなかなかいないんですよね。
丞威は僕が監督したPV(註:VOICES/「VOICE」)にも出てもらったことがありますし。その頃から丞威っていいなぁと思っていたんです。
──でも最初の構想では彼じゃなかった感じなんですか?
そうなんですよ。日本人でヤクザっていうと、もうちょっと年齢のいった風格のある人を最初はイメージしてたんですよね。でもそれは普通によくあるパターンじゃないですか。
そのちょっと前に韓国の『ベテラン』(2015年)という映画があって、リュ・スンワン監督とも対談したんですけど。主人公のファン・ジョンミンが40代の中年なのに対して、相手がいわゆるイケメン枠で若手の野心ギラギラなユ・アインがアクションでブワッと追い詰めるのを思い出して、「あ、なんで俺はここに気がつかなかったのかな?」と。だったら丞威だ、彼しかいない!と思って。
──僕もあの映画についてリュ・スンワンとしゃべりましたけど、そんな対比を考えたって言ってましたよ。若くて、あまりアクションのイメージがない俳優を、みたいな。
じゃ、やっぱりそこの発想が正しかったんですね。それで丞威に連絡して出てもらったんです。立ち回りできるし、芝居もこっちが予想してた以上に受けの芝居も上手かったし。
ドニーも最初は若すぎないかとか言ってたんだけど、次第に彼を気に入っていってるのがわかりましたね。丞威は英語がネイティブなので、ドニーとのコミュニケーションも全く問題なく、あんまり僕の手を煩わすこともなく(笑)。
ヒロインのニキ・チョウは「私が老けて見えるんじゃないか」って気にしてましたけど(笑)、現場で丞威の首にタトゥーのメイクを入れてみたり外見を工夫することで乗り切りました。

──それにしても、東京タワーでの強敵ぶりはドニーさんにタメ張ってましたね。
ジャッキー映画でも最近、強い悪役って出ないじゃないですか?昔のベニー・ユキーデみたいな。それを出したかったんですね。
アクションシーンの作り方で「活かして殺す」ってよく言うんですけど、「まず相手の良いところを引き出して、その上で最後に俺が勝つから俺が強い」っていう理論ですね。だからドニーも突き蹴りがちゃんとやれる丞威の良いところをどんどん引きだそうとしていました。
昔のジャッキー映画を知ってる人はそこを思い出すだろうし、そういう文脈で見ない若い人達にはアニメっぽいものに見えてもいいなぁと思いました。
──派手なアクションで盛り上がって、最後ヒーローが勝ってダーンって「劇終」が出て、何の余韻もなく終わっちゃうみたいな(笑)。
で、NG集がお楽しみみたいなね。
──エンドロールを見ていると今回、大内貴仁さんがアクション監督とクレジットされてますが、谷垣さんは監督に専念されたってことですか?
そうですね。今回はアクションだけでなく、全体を見渡さないといけない役割でしたから。アクションは大内くんに最初にイメージだけ伝えて。そしたら彼とアクションチームがちゃんと形にしてくれるんで、それに対しての判断をする感じですね。
── 一緒に長いこと協働されてますもんね。
『るろうに剣心』もそうですし。『導火線』で彼をドニーに紹介してからは『孫文の義士団』(2009年)『スペシャルID特殊身分』(2015年)でも一緒に。とにかく監督をするとアクションだけじゃなく全体を見なくてはいけないので。
そこんとこドニーは、中国のアクション監督より、香港のアクション監督より、日本のアクション監督を信頼しています。そのなかでも任せられるとしたら下村勇二くんか大内貴仁くん。両方ともドニーが信頼してるからです。アクションを任せることで、僕は初めてアクションを客観的に見れてすごく良かったんですよ。
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