神戸の街を「水」という視点で捉えた作家のメッセージに注目

2020.12.5 06:15

『徳重道朗 ゆきゆきて神戸』会場風景

(写真10枚)

「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)の『注目作家支援プログラム チャンネル』の第11弾として『徳重道朗 ゆきゆきて神戸』が、12月20日までおこなわれている。会場は、美術館の展示室ではなく、ワークショップなどがおこなわれる「アトリエ1」。

徳重道朗(とくしげみちろう・1971~)は、愛知県を拠点に活動するアーティスト。会場を何らかの風景に見立て、その場所の特性を生かしたり、場所の意味を引き出したりする作品で知られる。

今回は「アトリエ1」に流し場があることから、水を使った作品を構想。六甲山を背にした神戸市が持つ豊かな水系、それとは裏腹に1938年の阪神大水害をはじめ過去に何度も水害に苦しんできた事実に着目し、神戸を水という視点から捉え直すインスタレーションを制作した。

流し場の蛇口から発した水道水は、オブジェのてっぺんに伝わり、様々な日常物を伝って再び流し場に戻ってくる

会場中央には、チューブ、傘、バケツ、じょうろなどを組み合わせた巨大なオブジェが構築され、流し場から発した水がてっぺんに達すると、それらを伝って流し場まで流れ落ちてくる。そして周囲には、徳重が取材した映像や写真、神戸の水利・水害にまつわる資料、絵画などが配置されている。

観客は、まず装置的な作品の面白さに目を奪われるだろう。そして周辺の資料や映像などを見るうちに、神戸と水との関係や歴史に気付かされるに違いない。誰もが気軽にアプローチできる気安さを持ちつつ、同時に深いテーマやメッセージをはらんだ佳作である。入場は無料。

文/小吹隆文(美術ライター)

『注目作家紹介プログラム チャンネル11 徳重道朗 ゆきゆきて神戸』

期間:2020年11月21日(土)~12月20日(日) 
時間:10:00~18:00 月曜休 
会場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟1F アトリエ1(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
料金:入場無料
電話:078-262-0901

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