少女が犯した罪を描く「映画の根本の部分は、障害と正常」

かわいがっていた妹の死をどう受け止めるのか。知恵を演じる竹中涼乃(C)2019 Yosuke Takeuchi
オランダの画家フィンセント・ファン・ゴッホの人生と、東日本大震災の被災地に咲く1輪のひまわりから着想を得たという竹内洋介監督・脚本による初の長編映画『種をまく人』。病院から退院した高梨光雄役を演じる岸建太朗、弟家族とともに幸せにときを過ごそうとするなか、竹中涼乃演じる姪の知恵が、ダウン症の妹の命を奪ってしまう。その罪と罰の行方を描いていく。
ヨーロッパ・アメリカの映画祭で高い評価を受け、ギリシャの『第57回テッサロニキ国際映画祭』では日本人としては3人目の最優秀監督賞を受賞、そして当時11歳だった竹中涼乃が史上最年少にて最優秀主演女優賞を受賞している。
日本でも2月末から公開され東京・名古屋で順次公開され話題となっていたものの、新型コロナウイルスの影響で公開中止に。関西では12月5日から大阪の「シネ・ヌーヴォ」を皮切りに、「京都みなみ会館」、「神戸元町映画館」でようやく公開されることとなった。この作品に込めた想いを、竹内洋介監督に大阪で話を訊いた(一部ネタバレあり)。
取材・文/ミルクマン斉藤
「ゴッホの良い部分を抽出して・・・聖者に近いような役」
──僕は以前、2018年の『大阪アジアン映画祭』で拝見していまして、その時も1シーン1シーンに力みなぎる傑作と感嘆したんですが、もともと監督は油絵やってられたんですって?
芸術系の学校に行ったわけじゃないんですけど、ただ小さい頃から絵が好きで。集中して油絵を描いてみたいと思ってフランスにとりあえず渡って、1年間コツコツとアトリエに通って。ヌードモデルを毎日ひたすら描くだけみたいな感じでした。
──というのは光雄のイメージがいかにもゴッホなんですよね。ダイレクトにこの映画のタイトルが示すように。
そうですよね、ゴッホを明確にイメージしましたから。
──その光雄役の岸建太朗さんですが、キャメラも兼任されてるという。というか、太田信吾監督の『解放区』や藤元明緒監督の『僕の帰る場所』などインディペンデント・シーンの撮影監督として活躍されてますよね。
最近ではCMなんかもやってますね。この映画ではもともと撮影をお願いしてたんです。主役はオーディションで決めようと思ってたんですけど、岸さんとの関係性で昔からお互い作品を見せ合ったりとか、作品を手伝いあったりする関係性を築いていまして。
今回の役は結構難しい役だし、ゴッホの風貌も結構重要だからというなか、イメージ的に岸さんが一番なのかなと。ただ、かなりガタイが良かったから、岸さんにやってもらう場合30キロは痩せてほしいとお願いしました。
──え!30キロも痩せさせたんですか?
まあ、お願いして「分かった」と。それで半年くらいかけて、でも30はさすがに無理だったみたいで(笑)。22~3キロくらい痩せて。

──いやいや十分ですよ。見た目は。
食事も制限して、衣裳も半年くらい前から着て慣れてもらって。歩き方が少し堂々としているので補正して。結構歩き方って人の性格表したりするじゃないですか。自信ありげな歩き方だとちょっと困るので、半年くらい歩き方を補正して。それがまぁ一番大変でしたね。
あと、その岸さんのキャラクターとクセを生かして、キャラクターの性格をちょっと変えたんですね。セリフもなるべく排除して。
──光雄もゴッホも「自分はこの世のなかに居ていいんだろうか」って悩みながら生きてる感じですもんね。
異質な感じですよね。それがある意味テーマでもありますから。でも岸さんはもともと役者から始めたんですよ。だけど、もともと撮影が好きだから、彼が監督した長編作品『未来の記録』ではキャメラも兼任してたんです。それを初めて見たときにかなりの衝撃を受けて、僕の作品でも岸さんしかいないな、って。
──撮影の腕が確かなのは、さっき言った映画を観ると分かるけど、俳優として存在感ありますよね。
岸さんは、これまでヤクザとか強面な役が多かったんです。でも、もともと声も性格もやさしいとこがあるから、そっちを生かした方が良い、ってずっと思っていました。この役はホントに芯の底からやさしい役ですからね。ゴッホの良い部分を抽出して・・・聖者に近いような。
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