世界的に知られる陶芸家・黒田泰蔵の白磁の世界が大阪で

2020.11.26 06:45

黒田泰蔵 壺 2019年 白磁 高26.9cm 幅21.2cm 大阪市立東洋陶磁美術館所蔵(孫泰蔵氏寄贈) 登録番号05655 Photograph by T.MINAMOTO

(写真7枚)

静謐な美を放つ白磁の造形で世界的に知られる陶芸家・黒田泰蔵(1946~)。彼の作品約60点からなる特別展『黒田泰蔵』が、「大阪市立東洋陶磁美術館」(大阪市北区)で、来年の7月25日までおこなわれている。

20歳でパリに渡り、1967年にカナダで陶芸に出会った黒田。帰国後の1982年に初個展を開催。1992年に白磁作品を初めて発表し、以後は白磁が創作の中心になっていく。

作品の特徴は、真っ白なボディに幾何学的ともいうべき純粋な形態を持つこと。その一方、表面には柔らかな轆轤目や磨き跡が見られる。これらにより、静けさの漂う緊張感と豊かな質感、微妙なニュアンスを併せ持つ独自の作品世界が現れるのだ。

そこには、器という実用物の姿をしながらその枠を超え、ミニマルな抽象美へ至ろうとする作家の精神が宿っている。

黒田泰蔵のアトリエに併設されている安藤忠雄設計のギャラリー内部 Photograph by T.MINAMOTO

本展では、イセ文化基金所蔵品と大阪市立東洋陶磁美術館所蔵品を中心とする作品群で黒田泰蔵の世界を紹介する。また、静岡県伊東市にある自然豊かなアトリエや、併設されている安藤忠雄設計のギャラリーに作品を配した様子を映像などで見ることができる。陶芸ファンはもちろんだが、抽象作品が好きな現代アートファンにもおすすめしたい。料金は一般1400円。

文/小吹隆文(美術ライター)

特別展「黒田泰蔵」

期間:【4月25日〜5月11日休止】2020年11月21日(土)~2021年7月25日(日)※月曜休(12/28~1/4・12・5/6休館、1/11・5/3は開館)
時間:9:30~17:00 ※入館は16:30まで 
会場:大阪市立東洋陶磁美術館(大阪市北区中之島1-1-26)
料金:一般1400円、大高生700円 ※中学生以下無料
電話:06-6223-0055

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