黒木瞳が監督、伊藤健太郎主演作「若い人にいつでもバトンを」

監督としては4年ぶりの新作を手掛けた黒木瞳
「頑張りすぎたり、無理をしすぎたりする必要はない」
──劇中での弘徽殿女御の言葉は、彼女の人間性を明確に表していますよね。例えば「人は必ず老い、時代は動いていく。いつまでも同じ場所に立ってはいられない」という考え方とか。
まったくその通りですよね。だれもが寿命のなかで生きている。人は誰もが老いるわけだし、若い人に負ける美学には品性が備わっているという。無理をして若作りをしたり、若い人と張りあったりすることが、人間の価値ではない。
内館牧子さんの原作を読んで、「なるほど」と勉強させていただいた部分です。仕事などで役職や立場を変えていくことではなく、だれにでも人生において「同じ場所には立っていられない」と感じる瞬間が必ずやってくる。次世代の方たちにバトンを渡さなければいけない。
──黒木監督もバトンを渡す準備がある、と。
もちろんです。バトンを用意しておいて、いつでも渡せるような歳の重ね方をしていきたいです。そういう女になりたい、という自分の憧れがあります。
──黒木監督が先ほどおっしゃったように、弘徽殿女御は「若い人に負けるからこそおもしろい」と言います。
これはアスリート的な勝ち負けや、勝ち組負け組という意味ではない。勝敗を意識しすぎて、頑張りすぎたり、無理をしすぎたりする必要はないということですよね。
さだまさしさんが『潮騒』(2017年)という曲で歌われていますが、波は寄せては返すもの。まさにそれは人生に例えられます。私の兄も、「勝つだけが人生ではないんだよ」と教えてくれました。だから弘徽殿女御の言葉が自分のなかにすんなり落ちてきたんです。
──なるほど。
フリーアナウンサーの笠井信輔さんが作品をご覧になってくださって、「若い人に負けるからこそおもしろい」という言葉に涙が出たそうなんです。笠井さんご自身も長年、フリーになる前はそういう葛藤があったとおっしゃっていました。
弘徽殿女御の生き方は、多くの人の心の琴線に触れるものがある。笠井さんのご感想を聞いたとき「自分が伝えたいことが届いた」とうれしく思いました。

──メッセージ色が強い作品ですが、SFとしても楽しめるところがありますよね。雷がガイドブックを手に平安時代へタイムスリップし、そこに書かれたエピソードをなぞって人々と接するところなんかは、まるで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのような!
SFというほどのものではありませんが、でも雷が、愛する妻・倫子(りんし)のためにスピッツの『チェリー』(1996年)を歌ったり、現代の服の着こなしをしたりする部分など、雷が未来から何を持ち込み、平安時代の人々はどんな反応をするのか、それがこの映画の娯楽的な見どころですね。
だから哲学的なものとしてではなく、楽しんでご覧になってほしいです。そして生きる上で希望を持っていただけたら幸せです。
『十二単衣を着た悪魔』
2020年11月6日(金)公開
監督:黒木瞳
出演:伊藤健太郎、三吉彩花、ほか
原作:内館牧子『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』(幻冬舎文庫)
制作・配給:キノフィルムズ
(C)2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー
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