「本堂、行きます!」で大移動、大阪・三津寺のレアな光景

2020.9.29 17:15

大阪・ミナミの御堂筋筋沿いにある「三津寺」。現在、本堂が敷地内の南側に移動している

(写真8枚)

大阪のメインストリート・御堂筋の通行人から「三津寺さんが動いてはる」「ほんまや!」の声。道頓堀からすぐの真言宗「三津寺(みつてら)」(大阪市中央区)の本堂が、そのまま敷地内の南へ移動したのだ。

「みってらさん」と親しまれる同寺のSNSでは、「三津寺 本堂 行きます!」と、人気アニメ『機動戦士ガンダム』のアムロの名台詞風に工事風景の写真を掲載。実は、こちらの本堂は創建744年以来の長い歴史のなかで、江戸末期・文化5年に再建され、昭和20年の大阪市内が焼け野原になった大空襲でも戦火を逃れた貴重な建物だ。

その姿を次世代へ伝えるべく、今年1月から改築がはじまっており、庫裏(くり)や山門は解体。9月16日から本堂をそのままの状態で移動させる1回目の曳家(ひきや)を実施し、レール上を5分で約70センチ動かし、2日間で南へ約15メートルの移動が完了した。

改築後の庫裏建物には、カフェスタイルの茶室やワークショップの部屋、ギャラリーなどを設け、敷地内の一部には民間のテナントも入る予定。またよりアクセスしやすいように、新たな山門は御堂筋側に建立し、2023年4月の完成を目指している。

副住職の加賀俊裕さんは「改築を終えた際には、もっと気軽に寄っていただき、今まで仏教に接点がなかった方や日常の中で苦しみを抱えている方の心の支えになるきっかけの場になれば」と話し、大阪の歴史・文化の魅力を発信する存在を目指すという。

現在、寺務や絵写経の会は、難波・千日前の「三津寺墓地」管理棟で実施。また、本堂の仏様の一部は「大阪市立美術館」(大阪市天王寺区)の『コレクション展 大阪の仏像』で展示されている。

同展では、御本尊の「十一面観世音菩薩」(17世紀)をはじめ、「地蔵菩薩」(10世紀)、「毘沙門天」(12世紀)を間近で鑑賞できる貴重な機会となっている。期間は10月11日まで。料金は一般300円・高大生200円・中学生以下は無料。

取材・文/塩屋薫  写真/バンリ

「三津寺」

住所:大阪市中央区心斎橋2-7-12
電話:06-6211-1982
※現在の寺務は「三津寺仮事務所 松林庵」にて
住所:大阪市中央区千日前2-9 23
時間:10:00~16:00
※三津寺墓地は、今まで通り8:30開門・17:00閉門

『大阪市立美術館 コレクション展 大阪の仏像』
期間:2020年9月1日(火)~10月11日(日)※月曜休み
時間:9:30~17:00(入場は閉館30分前まで)
会場:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
料金:一般300円・高大生200円・中学生以下は無料
電話:06-6771-4874

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