未曾有の事態でどうする?関西の劇場の挑戦〜KAVCの場合

2020.9.28 07:15

新開地をアートの力を通じてさらに活気あふれる街にしたいという想いから1996年にオープンした「神戸アートビレッジセンター」

(写真9枚)

新型コロナウイルスによる自粛から、少しずつ復活に向けて動き出した関西の小劇場。なかでも神戸市が設置する「神戸アートビレッジセンター」(神戸市兵庫区)・通称KAVC(かぶっく)は、3月から5月末までの臨時休館を経て、6月末には関西在住の世界的マイム俳優・いいむろなおきのソロ公演で、演劇公演を再開した。

同施設は、小劇場、ミニシアター、アートギャラリー、アトリエなどを有する、地元カルチャーを支える複合アート施設。民間の劇場と違い、公共の施設だからできること、意識していることはあるのか? KAVC館長の大谷燠(いく)と、舞台版『ハイキュー!!』などを手掛ける演出家で、同館のプログラム・ディレクターを務めるウォーリー木下に話を訊いた。

コロナ禍での再開「発見がすごく多かった」(木下)

演劇公演をいいむろのソロ公演で再開したKAVC。劇場のプログラムを企画する木下は、この演目で再出発した理由を「舞台上の人に、できるだけストレスがかからない作品だから」と明かす。

KAVCの再開公演となった、いいむろなおきのソロ公演より
KAVCの再開公演となった、いいむろなおきのソロ公演『いいむろなおき マイム小品集』より

「実際にお客さんを入れたら、どんな問題が起こる可能性があるかを、劇場を再開したときに、まず確認したいと思ったんです。パントマイムなら一切しゃべらない上に、ソロ公演なら(舞台上の)ソーシャル・ディスタンスを気にしなくてもいいので(笑)、いいむろさんにお願いしました」。

公演は客席を3分の1まで減らし、当日パンフレットも印刷物を手渡しするのではなく、デジタル版だけに。この試みを通して、観客が安心できつつも、舞台を観る喜びも損なわない安全対策を探る糸口が、いろいろ見えてきたという。

「アンケートを見ると、客席は『逆に寂しくなるから、こんなに空けなくていい』というので、ガイドラインを遵守しても、お客さん側の感覚からすると1席ずつ空ければ十分だとわかりました。当日パンフも、思ったほど紙の物にこだわる人もいませんでしたし。今の時代、お客さんの意識も変わってきてるんだなあという発見が、すごく多かったです」と木下は振り返る。

舞台版『ハイキュー!!』などを手掛ける演出家で、KAVCのプログラム・ディレクターを務めるウォーリー木下
舞台版『ハイキュー!!』などを手掛ける演出家で、KAVCのプログラム・ディレクターを務めるウォーリー木下(8月20日・KAVC)

また、休館中に「公共」のあり方について、こんなことも考えたという。

「KAVCのようなアートセンターって、人が通り過ぎないとどんどんホコリがたまる。いろんなジャンルのアーティスト、いろんな立場のお客さんが出入りして、誰が作って誰が見るってことも関係なく、多様なものが日々ミックスされていく場所。それって『公共』というものに、そもそも求められていることだと思うんです。KAVCはもともとそういう場所でありたいと思ってたけど、コロナを経たことでより強固に、みんなが通り過ぎやすい環境を作っていきたいと、そういう目標が生まれましたね」。

『KAVC FLAG COMPANY 2020-2021』

日程:2020年11月~2021年3月
会場:神戸アートビレッジセンターKAVCホール(神戸市兵庫区新開地5-3−14)
料金:観劇パスポート10000円、個別チケットは劇団ごとに設定
電話:078-512-5500

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