大麻料理ってなんですの? シェフが繰り広げるクッキングバトル

2020.6.27 20:15

日本では、アウトな料理続々。『マリファナ・クッキングバトル』Netflixオリジナルシリーズ『マリファナ・クッキングバトル』独占配信中

(写真2枚)

シェフたちがクッキングバトルを繰り広げ、その食材がなんと大麻。「こんな企画、問題ないの?」とびっくりしそうだけど、Netflixでは2018年『クッキング・ハイ』というマリファナ料理対決番組がすでに配信されており、これがカルト的人気を集めたのだ。今回のオリジナル・ドキュメンタリー番組『マリファナ・クッキングバトル』は、そんな番組の好評を受けて制作されたものだ。ということで、はたしてその内容は?

大麻料理ってそもそも大丈夫ですか?

コロラド州では2014年に全米で初めて嗜好用大麻が解禁され、以降も合法化が進んでいるアメリカ。またカナダは2018年、ウルグアイに続いて国家として2カ国目の合法化。日本ではもちろんご法度だが、各国や地域によって嗜好用大麻への判断がなされる。

今回の『マリファナ・クッキングバトル』では、あくまで料理の味をさらにひきたてる素材として嗜好用大麻がつかわれており、シェフたちは「料理の可能性が広がる」と声を上げる(とはいっても合法化される前から嗜んでいる人たちばかりだけど)。そんなシェフたちの肩書きも、元NFL選手、元陸軍などさまざま。さらに審査員として、元NBAのスター選手、ネイト・ロビンソンらも登場。著名人たちが大麻料理を堂々と食い尽くしていく。

エピソード1から、笑えるほどヤバイ

この料理バトルのスタジオになっているのが、倉庫みたいな場所。エピソード1は「グリル料理対決」とあって調理中に煙がたちこめ、スタジオ内の視界がどんどん白くなっていく。男性司会者は「念のため」と消火器まで持ち込んでくる。

さらにスタッフは、煙を外に逃がすために大型扇風機をまわして換気。グリル料理の煙なのか、それとも違う煙なのか・・・みたいなアヤしい雰囲気になってきて、司会者、審査員たちはやたらハイになっていく。

意外にもおいしそうな料理なんです

番組のテーマからして出オチ感があるけど、賞金1万ドルがかかっているとあって料理人たちは真剣そのもの。できあがる料理もどれもおいしそうだし、作品としてイロモノ感はあまりない。出演者のマリファナ談義がメインな「おしゃべりクッキング」っぽい『クッキング・ハイ』に対して、こちらは『料理の鉄人』『食戟のソーマ』みたいなバトル色が強い。

前菜、メイン、デザートを制限時間内で作り上げるスタイルで、終了10秒前になって「やばい、クリームが足りない」などと料理人が慌てふためくシーンがお決まりだ。思わず「プロなんだからもっと計画性を持って調理したら?」とツッコミをいれてしまうが、それでも結構手に汗握ってしまう。

料理の決め手はTHC&CBDって?

シェフたちは頻繁に「この料理にはTHCが2mg入っている」「これにはCBDが・・・」と説明する。THCとは大麻にふくまれる成分。精神活性化といえば聞こえがいいが、つまりはハイにするものだ。逆にCBDはハイにさせるのではなく、不安や痛みに効果的な成分だという。シェフたちはこのTHCやCBDを、ソース、バター、ハチミツなどにまぜこんでいく。

いずれの料理にも数mg入っている程度なのだが、なかには「CBD60mgのデザート」なんかも出てきて、司会者が「マジか」と大興奮する一幕も。審査員もTHCなどを少しずつ食べ続けるせいか、番組が進むにつれて気持ちがナチュラルにアガっていく。女性審査員が男性審査員に対して「あなた、ホイップクリームは好きなの? 誰かの身体をなめるの? アハハハ(爆笑)」とスレスレのテンションになることも。

大麻だけにとらわれず、国や文化の違いを!

奇抜な番組に見えるけど、料理番組として見やすく構成し、競技性を演出する映像編集、そして何よりちゃんとおいしそうに映しているところがポイント高し。それでいて、大麻を愛好する料理人たちのキャラクターを立たせているので、意外にも映像作品として丁寧に出来上がっている。

むしろ「もうちょっとクセがあっても良いんじゃないの?」と思えるほどだ。ただ、アメリカ各地からやってくるシェフたちの、それぞれの家庭環境、出身地域、土地柄などが料理にあらわれるところがおもしろくて、本作はそういう意味での「国や地域による食文化の違い」が楽しめるはず!

文/田辺ユウキ

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本