新型コロナ終息願い、東大寺がSNSで呼びかけ「とも祈り」

2020.4.25 09:00

毎日正午に大仏様(盧舎那仏)に新型コロナ終息の祈りを捧げる東大寺の僧侶

(写真5枚)

「奈良の大仏様」で知られる「東大寺」(奈良県奈良市)が、新型コロナウイルス早期終息と罹患した方々の早期回復、感染により亡くなられた方々の追福菩提のため、4月1日から毎日「正午」に祈りを捧げている。

同寺は、4月24日から5月31日まで大仏殿を含む一部を拝観停止し、代わりに観相窓と本殿正面の扉を開け、大仏様の顔を遥拝(離れたところから神仏を拝むこと)できるようにした。東大寺は「現地で観ていただくことが目的ではなく、大仏様が皆さんを見守ってくださっていることを感じていただきたいとの思いから」と説明する。

もともと、奈良時代に感染症である天然痘が大流行したことや飢饉、天変地異による社会不安から、聖武天皇が国家の安寧を願い造立したとされる大仏様(盧舎那仏)。「こんな時だからこそ(東大寺に)お参りにいきたい」との声もあるが、外出自粛のなかでそれは難しい。

大仏様は、聖武天皇が国家の安寧を願い造立したとされる

東大寺の狹川普文別当は、公式サイトで「その時間(正午)に気持ちを合わせてともにお祈りいただければ」と広く呼びかけをおこない、さらにSNSでも全国の寺社、教会など全宗教関係者に対し、時間を合わせて各地で一緒に祈ることを呼びかけた。

それに対して、東京・東中野のキリスト教会や「金峯山寺」(奈良県吉野郡)など宗教・宗派を越えて多くの賛同がSNSだけでなく、メールや電話でも寄せられているという。真っ先にSNS上で賛同の意を表明した金峯山寺では、東大寺と同じく正午に蔵王堂で『とも祈り護摩供』を行い、その様子を同寺のフェイスブックでライブ配信し「『とも祈り』しよう」と呼びかける。

東大寺庶務執事の森本公穣(こうじょう)さんは、「宗教者がそれぞれの立場でできることをやって何とか(新型コロナウィルスが)収まるようになれば」と話す。そして、一般の人は離れた場所から、どのようにこの正午の祈りに参加したらよいのかについて、「このような状況のなか、心がざわざわしてしまいがちですが、そこをなんとか抑え、大仏さんの姿を思い浮かべて、気持ちを寄せて頂けたら」とみんなで時間を共有することの大切さを語った。

正午の祈りを捧げた森本公穣さん(4月13日撮影)

また東大寺は、新型コロナウイルス感染拡大により、参拝に行けない状況から、動画配信サービス「ニコニコ動画」(ドワンゴ)と史上初の試みとして『超テクノ法要×向源@ニコニコネット超会議』で疫病退散を祈願する法要を4月11日に大仏前からネットで生中継。ドワンゴ担当者によると、約20万3千人もの視聴があり、大きな反響があったという。

今後も大仏様を映し続ける定点カメラが置かれ、「ニコニコ動画」で「リモート参拝」が可能。毎日正午の法要に関しては、読経を音声で聴くことができる。東大寺は、国が終息宣言をするなど何らかの節目があるまで、この正午の祈りを毎日捧げ続ける。

取材・写真/いずみゆか

「華厳宗大本山 東大寺 」

住所:奈良市雑司町406-1

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