大阪発「飲食店倒産防止対策」署名が国を動かす
4月7日の緊急事態宣言の発令を受け、相次ぐ予約のキャンセルに苦悩する飲食店による、「飲食店倒産防止対策」を求める署名活動が、大阪市内でおこなわれている。
署名は4月11日時点で11万筆を突破。ミシュラン三つ星レストラン「HAJIME」(大阪市西区)シェフ・米田肇さんの発案でスタートし、今や日本全体を巻き込んだ、大阪発の一大ムーブメントとなりつつある。
「日本では、3月下旬の小池都知事の会見で外出自粛要請がなされて以来、飲食店の多くは補償もないなかでの経営判断を余儀なくされています。海外の多くの国では、行政が従業員の給料や家賃・光熱費までを負担していますが、日本政府や各自治体の各種補償は、いずれも手続きが煩雑で入金までに時間もかかる。内部留保の少ない飲食店がほとんどのなかで、休業という選択肢は死活問題になります」。
そう警鐘を鳴らすのは署名の発起人のひとりで、大阪をベースに日本の食の素晴らしさを世界に発信してきた「Office musubi(オフィス ムスビ)」の鈴木裕子さん。
まず3月上旬に、鈴木さんが携わる、『食創造都市・大阪推進機構』(大阪商工会議所による「食」についての取り組みプロジェクト)内で、『感染症検討会』が発足され、お客さまと飲食店が安全に食事を提供し、楽しめるガイドラインの策定を進めていた。
しかし、事態は日に日に深刻化…。新型コロナウイルスの感染が広まり、ガイドラインを出すより先にやるべきことがあると、感染症検討会にも参加していた米田シェフの呼びかけで、急遽3月29日に署名活動を立ち上げる運びに。署名を通して目指すのは、従業員の給料補償と家賃補償の2つが基本になるという。「国会議員や自治体の要職の方に会って陳情を入れつつ、スピーディーな対策を求めていきます」(鈴木さん)。
テイクアウト営業に切り替える飲食店も増えてきた。日本の豊かな食文化は、世界に類を見ない文化遺産。また、「おいしいものを楽しんで食べてもらいたい」一心で日々腕を振るうシェフは国の宝だ。来たるべき平時にまたその喜びを享受できるよう、国からの有効な支援が受けられるよう祈るとともに、署名活動の動向を継続してリポートしていく。
文/藤本和剛
「飲食店倒産防止対策」署名サイト
※オンラインの署名は4月30日まで受付予定
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