DA PUMP「地道に培ったものと自信がダンスに表れてる」

DA PUMP(左上から時計回りにYORI、KENZO、TOMO、KIMI、DAICHI、U−YEAH、ISSA)写真/河上良
「常に何があっても『まだいける』と考える」(ISSA)
──自信を失ったことが何度もあるからこそ、そう思えるようになりますよね。先ほどISSAさんから「地道に培ってきたものと、今それぞれが持っている自信」についてお話がありましたけど、みなさんも自信を失った時期、臆病になった経験はどういうものがありましたか。
DAICHI「17歳か18歳のとき、ヘルニアをやってしまって、そこで挫折してダンスを一度辞めたんです。幼少の頃から当たり前のようにやってきたことが自分の人生からなくなるのは、絶望的でしたね。でも、DA PUMPに入れるかもしれないという機会をいただいて、時間をかけてリハビリをして何とか動けるようになった。もしDA PUMPに出会っていなかったら、『もう一度踊ろう』とは考えなかったはず。今振りかえると感慨深いものがあります」
TOMO「自分は21か22歳の頃、初めてアメリカに行ったときですね。『そこそこは踊れる』と自信を持っていた時期なんですけど、LAには上手いヤツらがゴロゴロいた。「俺、全然ダメじゃん。こんな世界があったんだ」と衝撃を食らって、さすがに挫折感がありました。でもダンスが好きなので、『自分もちゃんと次のステージにいかなきゃ』と余計にダンスにのめり込むことができました」
U-YEAH「僕は、自信そのものが元々ないんです。だから、それを埋めていく作業の方が多い。ステージに何度立っても普通に緊張するし、いつも『どうしよう、どうしよう』と思っている。だからこそ、そのためにちゃんと準備をするようにしています」
YORI「ちょっと待って。MVであんな笑顔を見せておいて自信がないとか言わないでよ(笑)」

U-YEAH「いやいやいや! あれは振付師の方に『U-YEAHさん、ニヤニヤしながら踊ってください』と言われて、中途半端なものを見せたら失礼だからあそこまでやったんだよ! 『これなら人に出せるニヤニヤだな』というものを提示した。それこそ自分に自信がないからこそ、やるんだったら徹底的にやりたいんですよね」
YORI「僕は大阪から東京に出たときですね。特に何かアテがあって上京したのではなく、ダンスをやると決めていたわけでもなかったんです。だから、東京に来たものの『どうしよう、何もないな』と毎日不安を抱えたまま生活をしていました。結果的に、一緒にダンスをしていた仲間に引っ張りあげてもらい、ダンスを続けることになった。それがDA PUMPとしての今の自分につながっています」
KIMI「僕は2010年、DA PUMPの過去の曲をリアレンジした『if…arekarabokura』のレコーディングをしたとき。m.c.A.Tさんが付きっ切りでやってくれたんですけど、『ハートってこんなに折れるんだ』というくらい折れました。A.Tさんがものすごく厳しくて、『もう歌いたくない』となりましたから・・・」
ISSA「おお、懐かしい。でも、あそこで打ち砕かれたのが良かったんです。それがないと、上がっていける材料もないから。悔しさがないと伸びないんで。横で見ながら『おー、師匠。がんがん言っているなあ』と思っていた」
──どういう厳しいことを言われたのか覚えていますか?
KIMI「いやぁ、A.Tさんのイメージが崩れちゃうので言いません(苦笑)。一生懸命やって、すべて打ち砕かれることが2週間くらい続いたので、あのときはレコーディングスタジオに行くのが本当に嫌で仕方がなかった」
──そんなことがあったんですね。
KENZO「僕はダンスの世界大会に出たとき、決勝でいつも通りにできれば結果がちゃんとついてくるはずだった。でもステージに立つと、お客さんが何万人もいて、歓声もすごくて、音楽が冷静に聞こえなくなり手足が震え始めた。しっかり練習して、自信もあったのに『何でこんな風になるんだろう』って。そういう状況にまんまと飲み込まれた自分を『情けない』と思いました」
──なるほど。
KENZO「それから、身体や精神のことを勉強して。緊張や不安について突き詰めて考えるようになりました。気持ちだけで物事に向かっていても、いつか砕かれるときがある。100パーセントの力を出すためにはどうしたらいいか、あのときをきっかけに考えるようになりました」
──最後にISSAさんは、自信をなくした経験についていかがですか。
ISSA「自信をなくした瞬間は今までないんですけど、ただ常に何があっても『いや、まだいける』と考えてやっています。毎ライブ後、そう思っています。『まだいけるのに、こんなもんじゃないぞ俺は』って。ライブ後にシャワーを浴びているとき、フラストレーションを込めながら歌っていますから」
KENZO「あ、だからシャワーのときいつも何か言っているんだ!」
YORI「確かにシャワーを浴びているとき、なんか叫んでいるよね。ライブで2時間歌い終わった後なのに、めちゃめちゃ声が出てる(笑)」
ISSA「うん、まだいけるっていう気持ちだから。そこで汗と一緒に悔しい気持ちも全部洗い流して、リセットする。で、酒を飲む(笑)」
KIMI「声がめちゃめちゃ大きいこともあるけど、それってライブ中、あまり気持ちが乗らなかったときなの?」
ISSA「いや、お客さんの前に立つわけだから、気持ちはいつも乗っている。でも、ちょっとしたミスがあったりするのが単純に悔しい。自分にしか気づかないミスだったり、明らかに歌詞を間違えてしまったときだったり。理想とする自分像に追いついていないんです。だからいつも『俺はまだいける』となる」
YORI「確かに、ISSAくんは基本的なアベレージが人一倍高いよね」
DAICHI「そうそう。やっぱり・・・」
──お、DAICHIさんもISSAさんについて思うところがありますか。
DAICHI「あ、あの、ISSAくんは最高水準なんですよね」
ISSA「ちょっと待って、DAICHI。YORIが言ったことを何でわざわざ言い直した(笑)。インタビュアーさんに話を振ってもらって、同じことを言っているだけじゃん!」
──ハハハ(笑)。いや、でもあらためてDA PUMPの今の雰囲気の良さや、先ほどもお話があった「グルーヴ感やテンションの一致」をこの取材で感じることができました。今作も話題になることを期待しています。
全員「ありがとうございます!」
DA PUMP シングル『Heart on Fire』
2020年3月25日(水)発売
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