映画評論家が観る朝ドラvol.3「これが見たかったんだよ」

第105回より、崩れた穴から激しく吹き出す炎に驚く喜美子(戸田恵梨香)©NHK
数々の映画メディアで活躍し、本サイトLmaga.jpの映画ブレーンでもある評論家ミルクマン斉藤。映画の枠に収まらず多方面に広く精通する彼は、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)も注意深くチェックするという。『スカーレット』第18週(2月3日〜8日放送)を振りかえって思うところを訊いた。
第18週「炎を信じて」
前週の展開(八郎が息子を連れて別居)にげんなりしていたら、いよいよ喜美子の穴窯への絶えなき執念の物語に。ドラマ第1回目の冒頭へと回帰するシーンも出現し、いわば全体の要となる週であろうと期待できる。
思う色が出せぬまま、土の配合度を変え、煙突口の大きさを調整して灰かぶりの具合を改善する喜美子。何度も試作を重ね、ついには2週間もぶっ続けで窯を焚く・・・。

そう、こういう狂気じみた境地にまで至るクラフトワークのプロセスが見たかったんだよ、僕は。ところが、そこにまた八郎が登場。
しかも「僕にとって喜美子は女や、陶芸家やない。危ないことせんと止めてほしい」とのたまう始末。・・・はあ?? 今になって何言うとんじゃい、この小物めが。
まあ喜美子は敢然と、「うちは陶芸家になります」と別居中の夫の面前で宣言し、ついに望んでいた窯変(ようへん:窯内部で生じた色の変化)に成功するのだ。
でもここはまだ彼女の第一歩、アカデミックな教育も受けられず、ほぼ自力で穴窯陶器を再興した喜美子が美術界で名を成していくのか? その過程に興味津々となったところで・・・。
おいっ! そこをまるっきりすっ飛ばし、武志は高校2年生の伊藤健太郎へといきなり成長。喜美子は「先生」と呼ばれる立派な陶芸家になっている。

ここまで、月・火・水のたった3回。なんじゃそりゃ。水橋文美江はバランスというものが見えているのか。それとも陶芸家を扱いながら陶芸に興味がないのか、陶芸なんて地味なもの、ウケるわけないとどこかから横槍を入れられたのか。
近作でいうと一般的には評判がよろしくなかった『半分、青い』や『なつぞら』も仕事面については時間割いてキチンとやってたぞ(ちなみに僕はこの2作のほうがずっと好もしい)。
文/ミルクマン斉藤
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