閉館する映画館・布施ラインシネマ、地元民から惜しむ声
長年地元民に愛され続けてきた映画館「布施ラインシネマ」(大阪府東大阪市)が、2月29日をもって閉館。22日には同館にゆかりのある作品が上映され、多くのファンが集まった。
同館を運営する不動産の岡島興業は、1933年に映画事業を始め、布施に「昭栄座」を開館。それを皮切りに「東大阪劇場」「布施リオン座」を運営し、1997年にリオン座を改装して「布施ラインシネマ 」と名称を変えリニューアルオープン。現在は7スクリーン1145席を擁する映画館だ。
2012年にデジタル上映システムを導入したが、同館の掛谷嘉昭シニアディレクターは「フィルムからデジタルになって便利になりましたが、設備投資がだいぶかかる。個人の劇場ではなかなか厳しい」と、閉館という選択に至った現状を話した。
22日におこなわれたのは、南インド・タミルナドゥ州のスーパースター・ラジニカーント主演のインド映画『ペーッタ』のマサラシステム上映。紙吹雪やクラッカーOKのマサラ上映は、いまやインド映画のみならずさまざまな作品でも実施され、その名前は広まりつつあるが、2001年に日本で初めて実施したのが、系列の映画館で支配人を務めていた掛谷さんなのだ。
当時掛谷さんにマサラ上映を提案したのが、今回の『ペーッタ』マサラ上映の主催で日本語字幕も担当するラジニ.jpの安田英俊さん。「当時、映画を観ながら歓声、ましてや紙吹雪、クラッカーなんて・・・と、どこも受け入れてくれなかったマサラ上映を、一発でOKしてくださった。掛谷さんがいなければ今のマサラ上映はないと思います。閉館が残念です」と、最後を惜しんだ。
ラジニファンで同館の長年の利用客だったという50代の男性は、「約40年前、この場所で高校一年生のときに『セーラー服と機関銃』を観てから、ずっと通っていました。布施に来ることが激減してしまうね」と話し、20代の女性も「家の近所で週末はよく来ていました。初めて映画を観たのもここ。寂しい」と残念がった。
29日まで、開業からの87年間にちなんで87本の名作を上映する「ラストショー」が開催中(1000円均一、『ドラえもん のび太の宝島』は500円)。掛谷さんは「ラストショーが始まった序盤は少し寂しい状況だったんですが、少しずつ増えてきました。最後に名作を楽しんでほしい」と呼びかけた。
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