イタリア現代陶芸の巨匠、京都で回顧展

ニーノ・カルーソ《シチリアの記憶》1999-2004年
イタリアを拠点に世界各地で活躍した現代陶芸の巨匠、ニーノ・カルーソ(1928〜2017)。彼の没後世界初の回顧展が「京都国立近代美術館」(京都市左京区)で、おこなわれている。
カルーソは1950年代半ばから陶芸家として活動を始めた。初期の代表作「アルカイック」シリーズは、紐づくりの成形、人物や生物を描いた絵付け、ざらついた質感の釉薬が特徴で、古代ギリシャのアンフォラやエトルリア文明の文物、自身の故郷であるシチリアの岩石の質感から着想を得ている。また、1950年代後半から60年代中頃にかけては鉄の彫刻を制作。ほかにもセメントやグラスファイバーなど、さまざまな素材を使いこなした。

1960年代半ばには、発泡スチロールを電熱線でカットした複数のパーツを原型とする制作法を発案。モジュラー・ユニットの組み合わせ、展開によって空間を構成する可能性が拓けた。この手法で作られた「エトルリア人への敬意」シリーズは、カルーソの代表作として知られている。また、多くの公共彫刻を手掛けたほか、著名な陶磁器メーカーから彼がデザインしたタイルやスクリーンなどの商品が発売された。
本展では、92点の代表作やデザインワーク。スケッチなどで彼の業績を展観。技術、素材、アイデア、記憶、空間が有機的に結びついたカルーソの造形世界が味わえる。モダンななかにも地中海文明の息吹を濃厚にたたえた彼の芸術は、日本の陶芸ファンに大きな刺激を与えるだろう。期間は2月16日まで、料金は一般1000円。
文/小吹隆文(美術ライター)
『記憶と空間の造形 イタリア現代陶芸の巨匠 ニーノ・カルーソ』
期間:2020年1月4日(土)〜2月16日(日)※月曜休(1/13開館・1/14休館)
時間:9:30〜17:00(金土曜〜20:00)※入館は閉館30分前まで
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
料金:一般1000円、大学生500円 ※高校生以下・18歳未満は無料
電話:075-761-4111
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