京阪電車の駅構内で、都市と鉄道のアート

2019.11.3 07:00

ジョンペット・クスウィダナント《PROCESSION》2019年 インドネシアで頻発するデモやパレードの路上の喧騒、集団の熱気、ひとつ間違えば衝突や暴力に発展する様を表現

(写真4枚)

京阪電車なにわ橋駅地下1階コンコースにある「アートエリアB1」(大阪市北区)。ここで2010年から毎年開催されているのが『鉄道芸術祭』だ。その第9弾が12月29日までおこなわれている。

都市と鉄道が生活者に与える影響や、今日の都市の状況をテーマに、3人のアーティストが出展する。インドネシア出身のジョンペット・クスウィダナントは、自国のデモを作品化。玩具のトラック、覆面、仮面、マイク、楽器などで構成される作品には、多様な人種、宗教、思想が複雑に絡み合うインドネシアの社会、植民地や独裁政権だった過去の歴史が反映されている。

小沢裕子《石松三十石舩道中》2019年 5カ国5名の人に浪曲の一節を聞いてもらい、聞こえたままの言葉を伝言ゲームのように歌い継いでいく

小沢裕子の作品は、日本人と中国人のコミュニケーションにまつわる映像と、日本人と外国人に浪曲を聞かせて歌ってもらう映像。言葉と声の間に生じるズレを用いた表現は、日本人と外国人(今後ますます増えるであろう)の関係性について考えさせられる。

武田晋一は、鉄道と雑草の関係性をテーマにした4つの新作を発表。展示だけでなく、作品の保管や移動も表現の一部とする独自の発想により、梱包された作品を会場まで運搬する様子も映像化されている。

都市と身体を切り口に、多様な表現とその底流にある問題意識を知ることができる本展。トーク、ワークショップなど関連イベントも充実しており、それらも含めて楽しめる。入場無料。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

『鉄道芸術祭 vol.9 都市の身体』

期間:2019年10月26日(土)~12月29日(日) 
時間:12:00~19:00(12/14~25は~21:00)※月曜休(祝日の場合開廊、翌日休廊) 
会場:アートエリアB1(大阪市北区中之島1-1-1 京阪電車なにわ橋駅B1)
料金:無料(関連イベントの一部は有料)
電話:06-6226-4006(12:00~19:00)

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