堀未央奈「自分を大事にして欲しい」

2019.7.3 19:00
(写真4枚)

2016年の商業デビュー作『溺れるナイフ』で、業界内外に強烈なインパクトを残した新鋭・山戸結希監督。その最新作『ホットギミック ガールミーツボーイ』は、16歳の気弱な女子高生・成田初(はつみ)と、彼女をとりまく3人の男性との間で揺れ動く恋心を描いている。主人公・初を演じるのは、人気アイドルグループ・乃木坂46の堀未央奈。映画初出演にして初主演となる堀に話を訊いた。

取材/田辺ユウキ 写真/渡邉一生

「私も今では割り切れるように・・・」(堀未央奈)

──堀さん演じる初は、もともと自分に自信を持てない女の子。でも、再会した幼なじみの男子・梓から「かわいい」と連呼されることによって、みるみると自信をつけていきます。「かわいい」という言葉がまるで魔法であるかのように描かれています。

人気モデルの梓は初にとって手の届かない存在。そんな人に「かわいい」「君がいちばんだよ」という特別な言葉を向けられると、すべてがプラスに考えられるようになるはず。自分だけに甘い言葉をかけてもらえると、女の子は絶対にうれしいので。

──でも、梓のように「かわいい」を連発すると、その言葉の重みが失われてしまう気もするのですが。

それでも女の子は喜ぶものである、ということを梓は熟知しているんです。10代って本来、自分の気持ちを素直に言えない、もどかしい時期。だけど女の子って、梓のように思ったことをスッと言える人に意外とひかれちゃうんです。

「特別な言葉を向けられると、女の子は絶対にうれしい」と堀未央奈

──「かわいい」という言葉もそうかもしれないですが、この物語はきらきらしたパッケージに見せかけて、そのなかには生々しさや残酷さが潜んでいることも描いています。初自身も、表層的なものと本質的なもののギャップを誰とも共有できずにいます。堀さんも、周囲が抱くイメージと自分の本質のギャップに悩むことはありますか?

過去にもありましたし、今もあります。本当の自分はこうじゃないのに、とか、もっとこういうところを見て欲しい、とか。自分の気持ちとはまったく違う捉えられ方をしたときはすごく悔しいし、「私のことをわかってくれている人って、少ないのかな」と、わりとズンッとなったり(苦笑)。

──どうしても、タレント業はイメージ先行で見られちゃうますよね。

そうですね。私も今では割り切れるようになりました。ただ、初のように普通に生活をしていたら、そういう見られ方はストレスだし、すごく孤独になると思います。17歳でいろんなことを言われて、きっと苦しいはず。彼女の気持ちが理解できるから、演じていてもとても辛かったです。この映画を観る女の子には、そんな初の姿を通して「苦しみを抱えているのは、自分だけじゃないんだ」ということに気づいて欲しいです。

映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』 © 相原実貴・小学館/2019「ホットギミック」製作委員会

──10代の女の子特有の悩みとか、逆に一瞬のキラメキとか、山戸監督の女の子の切り取り方は実に見事です。

表には知られたくない感情や事実を、監督はあえて引き出し、スクリーンに映し出します。そうすることで、(観客の)女の子に届くという確信があるのではないでしょうか。私自身、乃木坂46で活動しているときは、負の感情やコンプレックスはできるだけ伏せています。それがアイドルだと、自分では考えているので。でも、初を演じるにあたって、ポジティブな考えよりも、自分の醜いところ、隠したいところ、言いたくない弱い部分をどんどん出していきました。

映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』

2019年6月28日(金)公開
監督:山戸結希
出演:堀未央奈、清水尋也、板垣瑞生、間宮祥太朗
配給:東映

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