ライブで見えた、三浦大知の底ナシの器

ツアーファイナルを大阪で迎えた三浦大知(13日・大阪城ホール)
圧倒的なスキルと、親しみやすさの両立
中盤のバラード・コーナーでは、曲の前半はピアノだけを伴奏に聴かせた『ふれあうだけで ~Always with you~』に続き、自らアコースティックギターを手にしての完全な弾き語りで歌った『世界』は、広い場内に彼がつま弾くギターと歌声だけが響く緊張感と求心力を伴った名演に。自らMPCも叩きながら、シークレットな某有名曲を斬新なアレンジでカバーし場内を沸かせると、80年代テイストなシンセを多用した爽快なファンク・アレンジの『DIVE!』から、さらなる盛り上がりを確信させる後半戦へ。

特に、幻想的なインディーR&B的なイントロから幕を開けて、曲後半にはトラップ的なビートも盛り込みながらドラマティックに高揚させた『飛行船』に続き、無音状態となった場内でセンターに浮上したフロアの上で彼と8人のダンサーたちが床を踏み鳴らす音だけが響き渡る緊張感たっぷりのダンス・パフォーマンスを挟んで、ブロステップ調の激しいビート・アレンジを伴いながらエモーショナルに圧倒する『Black Hole』へと突入する流れは、この精鋭クルーのポテンシャルが最大限に発揮された凄みに満ちていた。

そんな起伏に富んだ見せ場の連続を経て、本編のクライマックスは映画『ドラゴンボール超 ブロリー』のテーマ曲ともなった『Blizzard』、煌びやかなレーザーなどが飛び交うライティングの演出とともに世代を超えて親しまれる『Excite』といったヒット曲を連打し、ダンサーたちとともに360度のステージを周回して一体感を高めながらのハッピーなソウル・テイストの『music』、そしてラストはサビの部分のシンガロングを大観衆に求めながら「Dark Before Dawn』を。アンコールでも黄色いTシャツを着て登場して歓声を集めながら『Anchor』などを聴かせて最後まで魅了した。

三浦大知が2018年に発表したアルバム『球体』は、今の日本の音楽界において「大阪城ホール」を2日間満杯にできるミュージシャンが世に放つアルバムとしては、あまりにも挑戦的でオルタナティヴな作品だった。フランク・オーシャンやソランジュといった現行の米国R&Bの最先端をリードする才人たちのサウンドに呼応したようなアンビエントR&B的な音作りに、徹底的に日本語での表現にこだわり抜いた詩情豊かな歌詞、さらには研ぎ澄まされたロック/フォーク的な要素までも顔を出すなど。
あまりにも妥協なくハイブロウ過ぎて、これまでの楽曲とは相容れにくいもののようにも思えていたが、今回のツアーではその『球体』からの3曲が序盤・中盤・後半の要所に配置され、従来からのおなじみの楽曲の数々ともしっかりと繋がっている世界であることを示し、より起伏に富んだステージングや音楽的な振れ幅の広がりを可能にさせるキー・ポイントにまでしていた点が、とても印象深かった。
最近では2018年にビルボード1位を制した韓国のBTS(防弾少年団)をはじめ、現行のヒップホップやR&Bのメインストリームの動きを高度に咀嚼した東アジア発の「世界標準」なパフォーマーへの注目が高まっているが、今の彼にとってそれらの動きと肩を並べるクオリティのものを示すのは実力的に容易なことなのだと思う。しかし、彼はこれまでに築いてきた流れやキャリアを踏まえつつ、エンターテイナーとしての精度もますます高めながら、まだ誰も到達したことがないような、もっと大きくハイブリッドな境地を見据えているのではないだろうか?
圧倒的なスキルの高さに裏打ちされながらも、ポップな明快さと親しみやすさ、そしてR&Bやファンクからロックに至るあらゆる要素を真摯に内包したステージを観ながら、そんなことを強く感じさせられた。ヒット曲を次々と連発する一方で、国内外のクラブ・シーンで活躍するSeihoらともコラボしながら全方位(360度)的な広がりをみせてきた近年の集大成にして、まだまだ進化の余地を残した「ONE END(一端)」に過ぎないというスケールの大きさをも示すようなカラフルにして濃密な2時間強だった。
取材・文/吉本秀純
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