ライブで見えた、三浦大知の底ナシの器
3月13日に「大阪城ホール」(大阪市中央区)でおこなわれた、三浦大知にとって過去最大規模のツアー『DAICHI MIURA LIVE TOUR 2018-2019 ONE END』の千秋楽公演。披露したのは近年の代表曲のほか、エクスペリメンタルな音楽性を大胆に示したアルバム『球体』からのナンバーも一部交えたベスト的な選曲。シンガーとしてもダンサーとしても卓越したエンタテイナーとしての実力の高さをたっぷりと発揮する一方で、類似例の見当たらないジャンルレスな境地へと到達しつつある彼の底ナシな器の大きさを再認識させる圧巻のステージとなった。
会場も熱狂、シアトリカルなダンスパフォーマンス
今回が初導入になったという、360度ステージが会場のド真ん中に設置された城ホールの客電が落ち、4方向に分散して個別ブースで演奏するバックバンドが荘厳なハードロック調の前奏を奏でると、ステージ中央のフロアが上昇して、黒いフードを被った大知と8名のダンサーが登場。そのままヒット曲『Be Myself』へ流れ込むと、そのステージを取り囲むように客席を埋めたオーディエンスもサビの部分の大合唱で応じた。
序盤は『球体』に収録された叙情的な『硝子壜』なども挟みながらロック色の強いナンバーを連発し、強靭なブレイクビーツとともにブレイクダンスの世界大会のテーマ曲ともなった『(RE)PLAY』へ。ロック・フィールが強いが、グルーヴの端々やダンスなどには黒っぽいエッセンスがにじみ出る彼ならではのステージングで、濃密に観る者を圧倒した。
ここで舞台のフォーメーションを変えると、続くセットでは序盤では隠し味としていたソウル/ファンク的な成分を一気に上げてよりグルーヴィーな展開へ。手拍子を全方位の観客に求めてアーバン・ファンクなバッキングとともに盛り上げる『Fever』、R&B色の強いビートを伴いながら4方向に上昇した個別フロアで、4人の女性ダンサーたちがセクシー度の高いダンスを披露して熱気を高める『Breathless』など。ソウルフルな歌声と、単なるスキルの高いダンスという域を超えて、曲が提示する世界観を言葉以外でシアトリカル(演劇的)に表現したかのような域に達したダンス・パフォーマンスの連続で、息もつかせない密度とテンションをキープしたまま前半を駆け抜けた。
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