京都で、若手キュレーターの意欲的企画展

2019.2.15 05:00

大見新村プロジェクト 大見新村(京都市左京区)での活動の様子

(写真3枚)

「京都芸術センター」(京都市中京区)が、関西以外で活動する若手キュレーターを招き、新しい試みを実践する『KAC Curatorial Research Program』を開催する。

キュレーターとは、展覧会を企画し、テーマに沿ってアーティストを選び、展示内容をディレクションするという役割をになう。今年度は東京都墨田区を拠点とする青木彬を選定、京都のローカルならではの課題に直面し、約1年間のリサーチを基にした展覧会『逡巡の風景』が2月19日からおこなわれる。

イシワタマリ《いろいろやってみる部のまち歩き》2018年 photo by Utaco Mizuta

青木は「現代は生きることが困難な時代」と感じるという。歴史、国家、経済が複雑化し、我々の日常生活を支える制度や習慣にも歪みが見られるからだ。同時に、異なる価値観を持つ人との共生(多様性)が喧伝される今、私たちに求められるのは「自らの存在を超える他者の存在を常に意識し、自分が変わることを恐れない覚悟を持つことだ」とも。そしてアートこそ、一義的な解釈を拒み、あらゆる矛盾のなかでも切実に思考する方法として有効ではないかと考え、本展をキュレーションした。

出品作家は3組。自身が直面した制度への違和感や閉塞感を、周囲の人々を巻き込みながら対話によって越境しようと試みるイシワタマリ、約40年前に無住集落となった村を舞台に現代の暮らし方を考察する大見新村プロジェクト、農業、医療、福祉など様々な領域へのフィールドワークを通して人が生きることの根源を問う八幡亜樹。彼らの活動を通して、異なる価値観に出会った時の心の揺らぎを体感し、戸惑いながらもじっくりと考える機会を持ちたい。入場は無料、期間は3月31日まで。

文/小吹隆文(美術ライター)

『KAC Curatorial Rsearch Program vol.1 逡巡のための風景』

日時:2019年2月19日(火)~3月31日(日)・10:00~20:00 会期中無休
会場:京都芸術センター ギャラリー北・南(京都市中京区室町通蛸薬師下ル山伏山町546-2)
料金:入場無料
電話:075-213-1000

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