笑いと恐怖が表裏、京都で春画と妖怪画展
人間の性をテーマにした「春画」と、異形や怪異を描いた「妖怪画」。中世から近世の日本で脈々と描き続けられながら、マニアックな評価に甘んじてきた2つのジャンルを再評価する展覧会『日文研コレクション 描かれた「わらい」と「こわい」展 -春画・妖怪画の世界-』が、「細見美術館」(京都市左京区)で10月16日からおこなわれます。
本展は、2017年に創立30周年を迎えた「国際日本文化研究センター」(京都市西京区)のコレクションで構成されています。同センターでは創立期から春画と妖怪画を収集し、その総数は750余点。今回はそれらのなかから精選した150点を、「わらい」と「こわい」をキーワードに展示します。
では、なぜ「わらい」と「こわい」なのでしょう。「春画」はエロチックな絵画と見なされていますが、実際は性にまつわる滑稽な人間のやり取り、誇張された性器、同時代の文化に対するパロディなど、笑いの要素を多分に含んでいます。また、「春画」は人の死を描くことがあり、性(生)と死が交錯するジャンルとも言えます。一方「妖怪画」は、異界への興味や恐怖を描いた「こわい」絵ですが、同時に化物たちの滑稽な様子を描いた作品もあり、「わらい」の要素も含んでいます。中には春画と妖怪画の要素を併せ持つ「妖怪春画絵巻」なる珍品もあるほどです。
一見すると相反する「わらい」と「こわい」。実のところそれらは、表裏一体、あるいは隣り合わせに存在しています。人間の性(生)と死を扱い、笑いと恐怖が地続きで繋がる「春画」と「妖怪画」。そこには近代以前の日本が培ってきた豊饒な文化が広がっているのです。なお、本展は18歳未満は入場不可。入場の際には年齢が分かるものを提示する必要があります。入場は1500円、期間は12月9日までで、第1期から4期に分けて展示(詳しくは公式サイトにて)。
文/小吹隆文(美術ライター)
『日文研コレクション 描かれた「わらい」と「こわい」展 -春画・妖怪画の世界-』
期間:2018年10月16日(火)~12月9日(日)※月曜休
時間:10:00~18:00(土曜~20:00)※入館は閉館30分前まで
会場:細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町6-3)
料金:1500円 ※18歳未満は入場不可(受付で年齢証明を)
電話:075-752-5555
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