和歌山で、サウンドアートの巨匠が個展

2018.7.31 06:00

「階段に物を投げる」 1963(雑誌『デザイン』(1976)のための再演) photo:Nanae SUZUKI

(写真4枚)

日本のサウンド・アートの先駆者、鈴木昭男(1941〜)。1960年代に活動を開始し、77歳の今も国内外で発表を続けている彼が、和歌山県の2つの美術館で相次いで個展をおこないます。

鈴木の作品では「聴く」という行為が重要な意味を持っています。「階段に物を投げる」(1963年)では、名古屋駅ホームの階段から物を投げてそれらの音を聞き、「日向ぼっこの空間」(1988年)では、子午線上にある京都府網野町(現・京都丹後市網野町)で、自然の音に一日中耳を澄ませました。また、国内外の美術館や画廊で数々のパフォーマンスをおこなうほか、近年はコンセプチュアルなサウンド・インスタレーションを手掛けています。8月4日から「和歌山県立近代美術館」(和歌山県和歌山市)で開催の『鈴木昭男 音と場の探求』では、これまでの活動を資料などで振り返ります。鈴木が何を表現しているのか、どんな活動をしているのかを知る絶好の機会です。8月5日には本人のトークとパフォーマンスもおこなわれます。期間は10月21日まで、料金は一般340円。

「内 在」のためのスケッチ

一方、10月6日から「熊野古道なかへち美術館」(和歌山県田辺市)で行われる『鈴木昭男-内 在-』では、「音の内在」をテーマにした新作を美術館の内外に設置して 鈴木の最新の表現を伝えます。同館は県南の山中にあり、お世辞にも交通の便が良いとは言えません。しかし、熊野古道に隣接した環境、SANNA(妹島和世と西沢立衛による建築家ユニット)が設計した建築など、展覧会以外の見どころも豊富です。期間は11月25日まで、料金は一般400円。

文/小吹隆文(美術ライター)

『特集展示 鈴木昭男 音と場の探求』
期間:2018年8月4日(土)〜10月21日(日)※月曜休(9/17・24・10/8開館、9/18・25・10/9休館)
時間:9:30〜17:00 ※入館は16:30まで
会場:和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1-4-14・和歌山城の南隣)
料金:一般340円、大学生230円、高校生以下無料
電話:073-436-8690

『鈴木昭男展-内 在-』
期間:2018年10月6日(土)〜11月25日(日) 
会場:熊野古道なかへち美術館(和歌山県田辺市中辺路町近露891)
料金:一般400円、学生&16歳未満無料
電話:0739-65-0390

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