京都に集う、超絶技巧のレースの名品

2018.5.11 07:00

ハンカチーフ/アイルランド/19世紀 ©Hiroshi Abe

(写真3枚)

手芸の一分野で、美しい透かし模様が特徴の「レース」。その中でも特に価値があるヨーロッパのアンティーク・レースをテーマにした展覧会が、5月18日から「美術館「えき」KYOTO」(京都市下京区)でおこなわれます。

レースの歴史は古代エジプトまでさかのぼりますが、ヨーロッパでは16世紀以降にめざましく発展し、イタリア、フランス、フランドル、イギリスなどで超絶技巧の名品が数多く作られました。熟練の職人たちが長い時間をかけて作ったレースは王侯貴族に愛され、自らの富と権力の象徴として、単なる装飾品を越えた価値が与えられたのです。

洗礼用ヴェール・ドレス・ボンネット/ベルギー/19世紀 ©Hiroshi Abe

しかし、19世紀になると産業革命が到来。機械織りの安価な量産品が主流となり、かつての芸術品のような一点物は徐々に廃れていきました。中近世の卓越した職人技は途絶えてしまい、未だに機械では再現不可能とされています。こうした手工芸品のレースは「アンティーク・レース」と呼ばれ、現在も多くの人々を魅了しているのです。

アンティーク・レースのコレクターで鑑定家のダイアン・クライスさん

本展では、アンティーク・レースのコレクターで鑑定家のダイアン・クライス氏が所蔵する名品約170点を紹介します。展覧会は、レースの誕生と変遷、王侯貴族のレース、キリスト教文化に根付くレースの役割、ウォー・レース(第1次大戦中のベルギーで政策として保護されたレース)などの5章で構成されており、全盛期の名品とレースにまつわる知識を得ることができます。手芸ファンはもちろんですが、ヨーロッパ文化に興味がある人にとっても有意義な機会です。

文/小吹隆文(美術ライター)

『ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース』

期間:2018年5月18日(金)~6月3日(日)※会期中無休 
時間:10:00~20:00 ※入館は19:30まで
会場:美術館「えき」KYOTO(京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町 
ジェイアール京都伊勢丹7F隣接)
料金:一般800円、大高生600円、中小生400円
電話:075-352-1111(ジェイアール京都伊勢丹大代表)

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