木片を組み上げた巨大彫刻、大阪に登場

2018.5.15 06:00

アニアス・ワイルダー《Untitled #141》 2008年 500x500x500cm 松 Photo: Tomas Svab Courtesy of ARTCOURT Gallery

(写真3枚)

スコットランド出身の美術家、アニアス・ワイルダー。限られた素材と手法を用いて、重力、時間、空間、さらには人間の人生すら感じさせる作品を作る彼の個展が、5月19日から「アートコートギャラリー」(大阪市北区)で始まります。

ワイルダーの作品は、均一に製材された木片を何千個も組み上げた建築的な構造物です。釘や接着剤は一切用いず、木片の間に働く均衡、摩擦、重力の作用を頼りに、じっくりと時間をかけて緻密に組み立てていくのです。作品の外観は球形、円筒形、紡錘形などさまざま。なかにはモニュメンタル(記念碑的)な威厳をたたえた造形もありますが、どの作品にも共通しているのが、ちょっとした衝撃で一瞬にして崩れ去ってしまうことです。実際、一蹴りで作品を崩壊させるパフォーマンスをおこなうこともあります。

アニアス・ワイルダー アトリエ風景 出展予定作品《Untitled #202》の試作 Courtesy of ARTCOURT Gallery

数千ものパーツを1個ずつ慎重に組み上げた構造物が、ささいなきっかけでバランスを失い、一瞬にして崩れ去る。それはまるで「人生」を暗示しているかのようです。同時にそれは、日本人が古来から大切にしている「もののあはれ」にも通じる美意識であり、我々と相性が良い現代美術と言えるのでしょう。そしてもうひとつ重要なのは、崩れ去った作品をもう一度組み立てれば、再びもとに戻せることです。これもまた人生を感じさせる要素のひとつでしょう。

同画廊で10年ぶりの開催となる本展では、約10度の傾きで立ち上がる高さ約7メートルの円柱状作品「Untitled ♯201」と、100年前のユーカリの古材を用いて展示空間を横切るインスタレーション「Untitled ♯202」を制作・展示します。その堂々たる存在感と、実は脆弱な構造である事実、その両極性が観客を深い思索の世界へと導きます。

文/小吹隆文(美術ライター)

アニアス・ワイルダー『Until the End of Time』

期間:2018年5月19日(土)~6月23日(土)※日・月曜休 
時間:11:00~19:00(土曜~17:00)
会場:アートコートギャラリー(大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F)
料金:無料
電話:06-6354-5444

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