滋賀で、晩年デビューの女性作家3人展

塔本シスコ《絵を描く私》1993年 撮影:塩田洋
大正時代に生まれ、歳をとってから絵を描き始めた3人の女性作家を紹介する展覧会が、「ボーダレス・アートミュージアムNO−MA」(滋賀県近江八幡市)で、7月29日までおこなわれています。
塔本シスコ(1913〜2005)は50歳の頃に、画家である息子が描いた100号サイズの絵画の表面を包丁で削り落として絵を描き始めました。テーマは、家族のこと、幼少期のこと、身の回りにあふれる愛すべき存在など。あくまでも自己流の絵ですが、「描きたい」という気持ちがストレートに表れた作品は、多くの人に共感を与えています。

土方ゑい(1914〜2016)は、82歳で絵を描き始めました。画題は、動物、家族、旅行先の風景など。自分が親しく感じている物事を、絵画的な構図や遠近法にとらわれずに、素朴なタッチで思うがままに描いたのです。イラストレーターである孫との共作もおこなっています。
仲澄子(1916〜2015)は、90歳になってから過去を追想した絵日記を始めました。その理由は、自分が経験した遠い昔のことを、孫やひ孫に伝えておきたかったから。描き続けるうちに記憶が鮮明によみがえり、1日中取り組むこともあったそうです。絵日記のなかには、彼女が少女だった頃に思ったこと、目にしたものなど、大切な瞬間が綴られています。
3人に共通するのは、大正から平成まで3つの時代を生き抜いたこと、歳を取ってから絵を始めたこと、身の回りの出来事を描いたこと、少女のような天真爛漫さで描いたことです。人間はなぜ表現するのか? 彼女たちの作品からは、その根源的な問いへの答えがあふれています。
文/小吹隆文(美術ライター)
『GIRLS 毎日を絵にした少女たち』
期間:2018年4月28日(土)~7月29日(日)※月曜休(7/16開館、7/17休館)
時間:11:00~17:00
会場:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県近江八幡市永原町上16)
料金:一般300円、大高生250円
電話:0748-46-8100(社会福祉法人グロー)
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