フランス宮廷磁器展、現代美術とコラボも

煮込み肉用の容器と受け皿(「小壺と花綱とデュ・バリー夫人のイニシャルのセルヴィス」より)1770-1771年
フランスの高級磁器「セーヴル」。その300年にわたる歴史と名品の数々を紹介する展覧会が、「大阪市立東洋陶磁美術館」(大阪市北区)で7月16日まで、開催中です。
「セーヴル」の歴史は、1740年にパリ東端のヴァンセンヌに生まれた軟質磁器工房に始まります。国王ルイ15世とポンパドゥール侯爵夫人の庇護を受けた同製作所は、パリとヴェルサイユの間に位置するセーヴルに移転して王立の磁器製作所となりました。1769年には硬質磁器の製作に成功。国王ルイ16世と王妃マリー・アントワネットに製品を納めたほか、外交上の贈り物としても用いられ、各国の王侯貴族を魅了します。その後フランスは幾度かの帝政と共和制を経て現代に至りますが、「セーヴル」はその地位を保ち続け、現在もフランスを代表する高級磁器として高い評価を受けているのです。

本展では、18世紀後半から現代までの名品約130件が見られます。時代の流行によりフォルムや絵付け、色遣いは様々ですが、全体に共通するのは圧倒的な華やかさと豪華さ。真っ白な磁土に映える繊細で色鮮やかな絵付けに金の縁取りや装飾が加わり、文字通りの「高級感」が器全体から発せられているのです。フランス文化の栄光を体現する磁器。少々大げさかもしれませんが、そんなプライドすら感じられます。正直、我々庶民の生活には縁遠い世界ですが、美術館で鑑賞すれば貴族気分にたっぷり浸れます。

一方、現代の「セーヴル」は現代美術作家やデザイナーとのコラボレーションを進めており、本展でもアレクサンダー・カルダー、ジム・ダイン、エットレ・ソットサス、草間彌生、深澤直人らによるアーティスティックな作品が見られます。300年の歴史を持ちながら、ただ伝統を守るのではなく、積極的に新たな価値観を創造していく。その姿勢こそ、高級ブランドが現代まで続いてきた最大の理由でしょう。料金は一般1200円ほか。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
『フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年』
期間:2018年4月7日(土)~7月16日(祝・月)※月曜休(4/30・7/16開館)
時間:9:30~17:00 ※入館は16:30まで
会場:大阪市立東洋陶磁美術館(大阪市北区中之島1-1-26)
料金:一般1200円、大高生700円
電話:06-6223-0055
関連記事
あなたにオススメ
人気記事ランキング
写真ランキング
コラボPR
-
美しい風景を映像美に凝縮、鳥取中部の魅力とは[PR]
NEW 18時間前 -
エメラルドスタシア、関西で素敵な暮らしを[PR]
NEW 2021.2.26 14:00 -
【連載】神戸市北区で休日さんぽ〜北区のおみやげ編[PR]
NEW 2021.2.26 10:00 -
淡路島へおでかけ・・・遊びとグルメ
NEW 2021.2.26 09:00 -
但馬牛、カニ、絶景が楽しめる香美旅とは?[PR]
2021.2.24 19:30 -
SAVVY INFORMATION [PR]
2021.2.22 12:00 -
おうちで楽しむ餃子を、もっとおいしくするお供[PR]
2021.2.15 18:30 -
アートの楽園を再発見! あらためて知る直島の魅力[PR]
2021.1.27 12:00 -
兵庫の日本遺産って?書籍に登場する兵庫は?[PR]
2021.1.22 12:00 -
もう行った? 注目の「心斎橋パルコ」を深掘り
2021.1.21 09:00 -
知らなかった魅力を再発見、こんなにある兵庫の絶景[PR]
2021.1.7 10:00 -
【連載企画】初春文楽公演、みどころはココだ![PR]
2021.1.5 13:00 -
京都・奈良・三重、オススメの絶景めぐり【前編】[PR]
2020.12.28 07:00 -
京都・奈良・三重、オススメの絶景めぐり【後編】[PR]
2020.12.28 07:00 -
知ってた?イオンモールのこんなとこ[PR]
2020.11.13 12:00 -
大阪府少人数利用飲食店応援キャンペーンまとめ[PR]
2020.11.2 12:00 -
奈良・王寺町、お店を応援するプロジェクト[PR]
2020.7.3 13:00 -
【関西】ステーキ・焼肉・ホルモン・・・みんなで肉食べよ
2019.8.19 17:29