京都で知る、モリスの「美しい暮らし」

2018.4.18 07:00

ウィリアム・モリス《いちご泥棒》 1883年 photo ©Brian Trust Inc.

(写真5枚)

ウィリアム・モリスと聞いてカーテンや壁紙を連想した方は、相当なインテリア好きでしょう。しかし、これらの製品が19世紀後半からあること、そしてウィリアム・モリスがどんな人かを知っている人は、意外と少ないのでは。そんな彼をテーマにした展覧会『ウィリアム・モリス-デザインの軌跡』が、4月21日から「アサヒビール大山崎山荘美術館」(京都府乙訓郡)で始まります。

ウィリアム・モリス(1834~96)は19世紀後半のイギリスを代表する芸術家・思想家です。詩人、作家、工芸家、社会運動家など様々な顔を持ち、それぞれの分野で重要な働きをしました。本展では彼のデザイナーとしての側面に注目します。

《サセックス・シリーズの肘掛け椅子》 1860年頃 photo ©Brian Trust Inc.

モリスが活躍した当時のイギリスは産業革命の真っただ中。市中には粗悪な大量生産品が出回り、経済の発展と反比例して生活の質は下がっていました。そんな状況に対してモリスは「アーツ・アンド・クラフツ運動」を先導します。上質な素材・加工・デザインの室内装飾を手掛け、理想的な書物政策を目指した出版社「ケルムスコット・プレス」を創設するなど、「生活の芸術化」を推し進めたのです。

ウィリアム・モリス『ケルムスコット・プレス設立趣意書』 1898年 photo ©Brian Trust Inc.

彼の活動や思想は世界各地に波及し、後世に大きな影響を及ぼしました。日本の「民藝運動」もそのひとつと言えるでしょう(アサヒビール大山崎山荘美術館の常設展示に民藝作品あり)。本展ではモリスが手掛けた壁紙、テキスタイル、椅子、出版物などと、同時代のデザイナーたちの作品56点を紹介。「美しい暮らし」を追い求めたモリスの生涯と業績に迫ります。料金は一般900円、期間は7月16日まで。

文/小吹隆文(美術ライター)

『ウィリアム・モリス-デザインの軌跡』

期間:2018年4月21日(土)~7月16日(祝・月)※月曜休(4/30・7/16は開館)
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで 
会場:アサヒビール大山崎山荘美術館(京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3)
料金:一般900円、大高生500円、中学生以下無料
電話:075-957-3123(総合案内)

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本