ジャポニズムの原点、明治日本の工芸展

2018.3.9 07:00

安藤緑山《仏手柑》大正~昭和時代 象牙着色 京都国立近代美術館

(写真6枚)

1868年に明治時代が始まって150年という節目が今年です。美術界でも「明治150年」を冠した展覧会がいくつもおこなわれますが、3月20日から「京都国立近代美術館」(京都市左京区)で始まる『明治150年展 明治の日本画と工芸』もそのひとつです。

政府主導のもと、殖産興業や輸出振興が推し進められた明治時代。その中心となったのが工芸品です。明治6年(1873)の『ウィーン万国博覧会』に日本政府が正式に参加すると、日本の工芸品への関心は一気に高まりました。これを受けて政府も国家戦略として工芸図案の指導に力を注ぐようになり、全国の工芸家に与える図案を制作するとともに、提出された図案の修正をおこないました。

トーマス・B・ブロー《花蝶図輪花皿》明治~大正時代 陶、色絵金彩 京都国立近代美術館

また、首都が東京に移って経済基盤を失った京都では、地場産業の振興を目的に「京都府画学校」を設立。多くの日本画家が工芸図案(デザイン)の制作に携わり、時代に即した図案の研究をおこないました。こうした努力もあって、日本の工芸は欧米で「ジャポニスム(日本趣味)」と呼ばれる一大ブームを巻き起こしたのです。

(左)竹内栖鳳《羅馬古城図》明治34年(1901)絹本墨画淡彩 京都国立近代美術館 (右)都路華香《雪中鷲図》明治34年(1901)絹本着色

本展ではこうした明治の美術工芸品を、「日本画」と「工芸」という2つの視点から振り返ります。第1章「京都府画学校と同時代の日本画」では、竹内栖鳳、幸野楳嶺、都路華香、森寛斎ら日本画家の作品を紹介し、当時の日本画家と工芸の関係を明らかにします。また第2章「明治の工芸」では、明治の工芸家たちが作り出した超絶技巧の名品の数々が見られます。近代化という時代の変わり目だからこそ生まれ得た、名品の数々を堪能してください。

文/小吹隆文(美術ライター)

『明治150年展 明治の日本画と工芸』

期間:2018年3月20日(火)~5月20日(日)※月曜休(4/30開館)
時間:9:30~17:00(金・土曜~20:00)※入館は閉館30分前まで 
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
料金:一般1000円、大学生500円
電話:075-761-4111

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