元男役トップ・壮一帆、ゼロからの出発

2018.3.12 16:00
(写真3枚)

2014年に宝塚歌劇団を退団した、元雪組トップスター・壮 一帆(そうかずほ)。和洋幅広くこなす芸域と、伸びのある歌声やダンスで魅了する壮が、退団後初となる本格的なショー『GEM CLUBII』に出演する。日本のショーシーンを牽引してきた演出家・玉野和紀による作品で、ショーハウスを舞台に様々な才能がスパークするステージだ。女優として次々と舞台に出演する壮に、今作はもちろん、退団後新たに抱いた想い、地元関西について話を聞いた。

取材・文・写真(人物)/小野寺亜紀

「女性として役作りをするのはゼロから」(壮 一帆)

──女優活動を始められて2年、男装の麗人・川島芳子(音楽劇『魔都夜曲』)や花魁の浮雲(『戯伝写楽 2018』)など幅広い役柄を演じてこられました。

この2年、作品に役に、そして共演者の方に恵まれていたと思います。私は宝塚を卒業したとき、「もう全部やり尽くした」と思っていたのですが、「いやいや何も・・・」と痛感しました。女性として役作りをするのはゼロからで、今やっと2歳になった気分。男役では男性を軸に芝居を考えてきたので、全然違う作業だなと思いました。

──やはり男と女は違う生き物だと?

そう、「女心って何?」というところから始まりました(笑)。でも、学ぶことがたくさんあるのはとてもうれしいこと。まだまだ先が長くて、壁も高い。そこであがきながら自分を磨いていくことができる、こんなに素晴らしいことはないです。この世界を選んで良かったと思います。

──女性としての「美」を磨くことも意識されたのでしょうか?

そうですね。まず気負うことなくスカートを履けるようになりました。最初は、スカート姿の自分を鏡で見ると何かヘンだったんですよ。男役のときはズボンばかりを履いていたので、退団間近は普通にメンズの服を着ることができるようになり、衣裳でもラインの補正素材をほとんど入れなくてもいいようになりました。歩き方などから、筋肉のつき方がそうなるんでしょうね。そこから今やっと、スカートも違和感がなくなり、もっと買い揃えたいと思うように。

壮が花魁役を演じたミュージカル『戯伝写楽2018』より 写真/桜井隆幸
壮が花魁役を演じたミュージカル『戯伝写楽2018』より 写真/桜井隆幸

──例えば何かを見ても、感じ方が変わったというようなことは?

ありましたね。お芝居やドラマでも、女性のほうを見るようになりました。でもやっぱりクセで、「自分が男役だったらこの役をやりたいな」とまだ考えちゃうんです。普通の女優さんにはない物事の捉え方、表現はあると思うので、そこは活かせたらと思います。

──退団後、ほかに驚かれたことは?

宝塚歌劇団は家族のような仲間意識があるので、必要なら共演者にアドバイスもするのですが、退団後の舞台ではみなさんプロ意識を持ち、自分のやり方でされているので、そのアドバイスが失礼になることもあるのではないかなと。そんな部分からも、スイッチを切り替えなければと感じましたね。

──昨年はミニアルバム『SO BAR』をリリースされ、ご自身で作詞もされていました。

作詞ってある意味自分の人生を切り取る作業なんだなと思いました。とても恥ずかしかったです。一番自分らしいと思ったのが、牛乳へのリスペクトを込めた『牛乳』という曲。私は「今までありがとう」というような歌詞を書くのは全然似合わない(苦笑)。でも身近なことに対して、ほかの人が感じないようなことを、自分なりの解釈で言葉にする作業はおもしろかったです。

SHOW HOUSE『GEM CLUBII』

日程:2018年4月14日(土)~15日(日)
会場:サンケイホールブリーゼ(大阪市北区梅田2-4-9)
料金:S席9800円、A席8000円、U-25 5000円
電話:06-6377-3888(梅田芸術劇場)

  • LINE
  • お気に入り

関連記事関連記事

あなたにオススメあなたにオススメ

コラボPR

合わせて読みたい合わせて読みたい

関連記事関連記事

コラム

ピックアップ

エルマガジン社の本