貴重なタピスリー、姫路で名品展

2018.2.7 07:00

ソレマニエ・フィニィ工房《マリヤム・ハーノム》 21世紀 千代田トレーディング株式会社蔵

(写真2枚)

羊毛や絹、麻などを用いてさまざまな絵柄や文様を奏でる「タピスリー」(綴織壁掛)。その世界にどっぷり浸れる貴重な展覧会『イメージを織る』が、2月10日から「姫路市立美術館」(兵庫県姫路市)でおこなわれます。

タピスリーの歴史は古く、古代西アジアや古代エジプト文明の時代までさかのぼります。西洋の綴織はササン朝ペルシャなど東方文化の影響を受けて始まり、中世にはフランドル地方や北フランスで壁面を覆う防寒用具・調度品として発達、16世紀末から18世紀にかけてのバロック・ロココ時代には、装飾性の高い華やかな芸術品として独自の発展を遂げました。日本では明治時代に京都の企業「川島織物」(現・川島織物セルコン)が室内室内装飾織物の先駆者となり、宮中の装飾や勧業博覧会で活躍しています。

《預言者サムエルと少年ダビデ》 16-17世紀 女子美術大学美術館蔵

本展は「コプト織の世界」「キリムからペルシャ絨毯へ」「西洋の綴織芸術」「明治期の綴織芸術-制作の過程から-」の4セクションで構成されています。なかでも、実業家の松方幸次郎がヨーロッパで蒐集したタピスリー(旧松方コレクション)の《アレクサンドロス大王に許しを請うティモクレイア》は、幅5メートルを超す大作であり必見です。また、明治期の綴織を代表する二代目川島甚兵衞作《花籠金魚鉢模様綴織壁掛》(東京国立博物館蔵)と、同作の織下絵(川島織物セルコン織物文化館蔵)が共に展示されるのも話題です。日頃タピスリーを見慣れていない人も、実物を見ればそのスケールの大きさと精緻な仕事ぶりに感嘆の声が上がるでしょう。最高レベルの綴織芸術を知る絶好の機会です。期間は3月25日まで、料金は一般900円ほか。

文/小吹隆文(美術ライター)

『イメージを織る』

期間:2018年2月10日(土)〜3月25日(日)※月曜休(2/12開館、2/13休館)
時間:10:00〜17:00 ※入場は16:30まで 
会場:姫路市立美術館(兵庫県姫路市本町68-25)
料金:一般900円、大高生600円、中小生200円
電話:079-222-2288

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